がん患者の10年生存率=回答・下桐実雅子
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毎日新聞 2016.02.23 UPDATE
(2016年2月22日 毎日新聞より) 日本人の2人に1人が、生涯(しょうがい)でがんになると言われています。がん患者(かんじゃ)の「10年生存率(せいぞんりつ)」を、全国32のがん専門病院でつくる「全国がん(成人病(せいじんびょう))センター協議会」(全がん協)が分析(ぶんせき)し、初めて公表しました。ここから何が読み取れるのでしょうか。
がん患者さんの10年生存率について、わかりやすく解説された記事です。
先日、国立がん研究センターが全国のがん専門病院のデータをまとめて報告したことがきっかけとなり、10年生存率に注目が集まっています。これまでは5年生存率が報告されてきましたが、がん医療の進歩により長期生存が可能となってきたため、5年よりも長い10年生存率の情報が求められるようになりました。
私たちの研究グループでは地域住民に発生した全てのがんを対象として収集する地域がん登録資料を用いて、10年生存率を報告しました。データソースの違いについては、先日のヘルスナッジ記事で解説しましたので参照して下さい。
http://healthnudge.jp/9218
1.どのくらい新しいのか?
記事にもあるように、新しい時期のデータに限って長期生存率を推計する方法(Period法)を使っているため、先日公表された全がん協のデータよりも若干新しいの医療状況を反映しています。とはいっても、データの届出、登録、分析には時間がかかっているため、2002-2006年の医療状況を 反映したデータとなっています。今後ますますタイムリーにデータ発信できるよう努力する必要があります。
2. がんサバイバーの方向けの生存率
この部分が実は一番宣伝したいところで、画期的な生存率の見せ方となっています。がん患者さんは診断されてから、だいたい皆さん「5年」を治癒の目安と考えており、それまでの間にも2年、3年と経過するにしたがい、ご自身の体調も良くなっていますが、一律の「5年経過=治癒」を目指してきました。しかし、2年、3年と経過した方のその後の5年生存率は確実に高くなってきており、5年も経過すると100%に近い値となってきます。
このような情報は療養中のサバイバーの皆さんにとって、元気の出る情報なのではないかと思い、計算し発表しました。臨床の先生方にもぜひフォロー期間中の診察時などに使ってほしいなぁと感じています。まだあまり普及していないので、このように新聞で取り上げてもらえてよかったです。多くのがん患者さんやご家族、医療現場の皆様に知ってもらえたらと思います。部位別、年齢別、進行度別に情報を発信していますので、ぜひご参照下さい。
国立がん研究センター:最新がん統計(一番下の方にあります。)
http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
研究班(J-CANSIS)の冊子のダウンロード(部位別の詳細な表・グラフがあります。)
http://www.mc.pref.osaka.jp/ocr/data/data2/j-cansis.html
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