がん検診のメリットは「絶対値」で考えよう

病気・医療

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favicons?domain=gooday.nikkei.co 日経Gooday(グッデイ) 2016.03.30 UPDATE

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乳がん検診(マンモグラフィー)を例に、がん検診などのメリット・デメリットについて考えてみましょう。

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尾瀬功

愛知県がんセンター研究所 疫学・予防部 主任研究員 医師 博士(医学)

 健康や医療に関わる数字の読み方を解説する記事のシリーズで、今回はがん検診の効果の見方について説明しています。タイトルで「絶対値で考えよう」とありますが、記事中では絶対リスク減少と相対リスク減少を比較して説明されてないので、少し補足します。

 例として、ある集団では1000人中10人がある病気で亡くなるとします。検診を受けると、その病気を早期発見して治すことができるので、1000人中5人しか亡くなりませんでした。1000人あたりの死亡が10人から5人なので、相対リスク減少は5÷10=0.5 (50%)、絶対リスク減少は10−5=5 となります。つまり、個人について考えると、ある病気での死亡の可能性が、検診を受けると半分になるということです。一方、集団として考えると、ある病気の検診を受けて得する人は、1000人あたり5人、残りのうち5人は検診を受けても受けなくても死亡する、990人はどっちにしても死亡しない、ということになります。どちらかの見方が正しいわけでもなく、同じ現象を説明しているだけです。

 がんで亡くなる人は多いですが、乳がん、胃がん、大腸がんなど、たくさんの種類があるので、個別のがんで考えると実はそれほど多くありません。がん情報サービス(ganjoho.jp)の最新がん統計によると、生涯にがんになる確率(累積罹患リスク)は女性の乳がんで9%、男性胃がんで11%、男性大腸がんで9%程度です。最近では、がんが治ることも多いので、生涯でがんで亡くなる確率は女性の乳がんで1%、男性胃がんで4%、男性大腸がんで3%です。つまり、がん検診を受けても、90%ぐらいの人は元々そのがんになりません。とはいえ、がん検診が行われているがんを合わせると約30%になりますので、無視できない数字になると思います。

 私は基本的にがん検診は受けた方がよいと思っていますが、自分で考えて決めたいと思う場合は「科学的根拠に基づくがん検診推進のページ」http://canscreen.ncc.go.jp/index.html で勉強してみるのもいいでしょう。

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