有酸素運動で減量した人が“リバウンドしやすい”のは科学的な理由があった!
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日経Gooday(グッデイ) 2016.09.11 UPDATE
“筋肉博士”石井直方先生(東京大学教授)が、筋肉のメカニズムや機能を毎回わかりやすく解説していきます。今回は、前回に引き続き、カラダの中で熱を生み出す仕組みを見ていきます。筋肉や脂肪組織が熱を出すのに関わっているのがUCPというタンパク質。近年の研究により、UCPの活性の違いにより「太りやすい体質かどうか」などがわかるようになってきました。
「有酸素運動で減量した人が“リバウンドしやすい”のは科学的な理由があった!」・・・ドキッとするタイトルです。読者はきっと「読んでみよう」と思うことでしょう。しかしながら、その根拠が人を対象とした質の高い介入研究や観察研究でない限り、そのタイトルは「言い過ぎ」であり、場合によっては「間違った」情報を流布することにつながります。残念ながらこのタイトルは言い過ぎであり、本文を読んでも、このタイトルを純粋に証明した研究論文は引用されていないことから、科学的根拠のないタイトルだと言わざるを得ません。
本文で紹介されている内容は、文献が引用されていないので、原典を確認することができませんが、UCP1やUCP3など、熱産生に関わる遺伝子タイプの違いによって、太りやすさが異なるだろう、ということのようです。また、持久的な有酸素運動を実践している人は、無駄にエネルギーを消費しない効率的な筋肉をつくるようになるので、ダイエットと絡めて考えると、エネルギーを消費しにくいからだづくり=リバウンドしやすい、と考えたようです。
これはあくまでも仮説を立てた段階であり、科学的に検証されていません。科学は日々発展していますので、いずれ、この仮説が検証されることもあるでしょう。しかしながら、検証以前の仮説段階での「専門家の意見」は、興味深い読み物どまりであり、科学的根拠に基づく信用できる情報にはなり得ません。このタイトルが独り歩きし、誤解に基づき、有酸素運動をやめてしまう人が出ないことを祈るばかりです。
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