バター不足で考えた! どの脂質が身体に良い?

食事

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favicons?domain=gooday.nikkei.co 日経Gooday(グッデイ) 2016.10.17 UPDATE

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2016年5月、農林水産省はバター6000トン、脱脂粉乳2000トン、練乳500トンの追加輸入をすると発表しました。バターの追加輸入は3年連続です。バターの品薄問題は以前から話題になっていますが、では、栄養素的にはバターが不足すると、どんな影響があるのでしょうか? 他の脂肪に置き換えることはできないのでしょうか?

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今村文昭

ケンブリッジ大学医学部 MRC疫学ユニット

ハーバード大学で基礎研究をしていらっしゃる大西先生 の記事です。私は以前、ハーバード大学で4年間栄養疫学研究をしていま した。大西先生のことはお話には伺っていたのですが、残念ながら お会いする機会がありませんでした。

内容的にはハーバード大学公衆衛生大学院の栄養学部門が発信して いる記事を翻訳し噛み砕いたものになります。冒頭を除いて構成、内容ともに一緒です。抽象的に述べると、医学 、栄養学、栄養疫学は共有できる部分がありながらも混同できないと再認識させられる内容です。

具体的に気になる点のひとつは、相関関係に基づく研究 報告について、あたかも因果関係があるかのように述べられているところです。

たとえば、3ページ目に、
「1997年に・・(略)・・8万82人の女性を対象にし た画期的な疫学研究を報告しました。それが、摂取する飽和脂肪酸のわずか5%を不飽和脂肪酸で置き換えると、なんと42%も心疾患のリスクの1つが減少すること。ま たトランス脂肪酸をわずか2%不飽和脂肪酸に置き換えるだけで、53%も心疾患のリスクの1つが減少するというものです。」

とあります。これは危険な表記です。1997年の論文では、あ る種の脂肪酸の摂取が高く、別の種の摂取が低い人ほど、心疾患の リスクが低かったこと(相関関係)が報告されています。脂肪酸を置き換えるとリスクが減少した(因果関係)と示したのではありません。細かいようですが、この違いが明確ではありません。(ちなみに、英語の原文では、うまく問題を避けています。)

因果関係と相関関係とが混同してしまうことはこの記事に限らずウ ェブ上には頻出します。読むときも書くときも気をつけたいところです。この違いを明確にできなくては、栄養に関する論争の内容、なぜそれが続いているのかなど、妥当な解釈ができません。

すでに長文なので、これ以上は控えますが・・原文はハーバード公衆衛生大学院の研究や意見です。議論の全体像を反映しておらず、この記事と相反する内容を報告する膨大な量の研究にはまったく触れていません。ハーバードのサイト内なら「アピール」で留まるのですが、それを総論かのように一般化する事は好ましくありません。

産学官民の連携が叫ばれる最中、研究機関や研究者がニュースや意見を発信することが多くなってきました。そのニュースの必要性や質について、やはり外部の専門家が判断しなくてはなりません。栄養と健康というと多くの記事がありますが、その科学の裏表を理解している人の記事が公に出ればいいなと思います。

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