幼児向け薬、米で10人死亡、400人健康被害か 「ホメオパシー」でFDA調査

病気・医療

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favicons?domain=www.sankei 産経ニュース 2016.10.18 UPDATE

 「ホメオパシー」と呼ばれる代替医療で販売されている幼児向けの薬で、過去6年間に10人が死亡し、約400人が健康被害を受けた可能性があるとして、米食品医薬品局(FDA)が14日までに調査に乗り出した。

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柿崎真沙子

名古屋市立大学大学院医学研究科医療人育成学分野 講師 博士(障害科学)

 ホメオパシーとはなんぞや?という方は検索していただけばいろいろ出てくるかと思うのですが、毒を以て毒を制するというか本来は毒(=体に悪い)と言われる物質を希釈に希釈を重ねたレメディーと言われる物質を用い、治療する方法です。希釈に希釈を重ねられているレメディーにそもそもその物質自体が混ざっていない単なる水なのでは、という疑念もありただのプラセボ効果ではとも言われ、医学的には全く有効性が証明されていない治療法です。

 まあそんなただの水なんて飲ませるだけなら死にはしないだろう、プラセボ効果で病気が治るなら御の字なのではとあなどるなかれ、この記事にあるように、本来行わなければならない治療を選択せず、レメディを投与することで実際に死者が出ているのは実はニセ科学界隈では周知の事実です。そして今度は思っている以上に大きな規模で健康被害が出てしまいましたね。

 イギリスでは公的医療保険の対象となっていた時期もあるのですが、現在ではほぼ保険診療の対象外となりつつあり、先進国の多くでは根拠の乏しさから医療の現場では排除されています。医療従事者の方ですと普段は標準医療に囲まれているのでホメオパシーなどを見聞きする機会も多くはないと思いますが、ニセ科学などをウォッチしていると結構よく出てきます、ホメオパシー。これを機にこんな怪しげなものに手を出してしまう人もいるのだと頭の隅にとどめておいていただけると幸いです。

 さて、このような「実際の診療現場から排除されている」のに「知人が使ったら効果があったと聞いた」ということで、「ホメオパシーが公的医療に取り入れられないのは製薬会社や医者の陰謀だ」などと言い出す方も割といらっしゃるのですが、知人が使って効果があったからと言って万人に効果があるわけでもありませんし、科学的な手法できっちり評価したうえで医療費を投入しないとそれこそ税金の無駄遣いですよね。

 余談ですが、「友人たちは効果があったんだから効果があるはずだ」「私の周りはお酒やたばこをやる人が多いけどみんな長生きだ。」などといくらエビデンスの重要性を強調しても納得されない方には、「私の周りの人は選挙にみんな行ってたけど、投票率50%にも満たないってことよくあるよね。周りがみんな投票してるからって投票率がいいわけじゃないんだよね。」という事例を持ち出していますが、みなさんならどう理解してもらいますか?なかなか周りが効果があったり長生きだったりすると「エビデンスとしてはそうかもしれないけど、でも・・・・」となって堂々巡りとなってしまう事例があるので悩みどころです。

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