検索結果を疑わない人は、DeNAを笑えない
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東洋経済オンライン 2016.12.08 UPDATE
「Googleの1〜3位のサイトより、クオリティの高い記事を世の中に公開していきたい」 これはDeNAが、傘下の健康・医療をテーマとするキュレーション(まとめ)サイト「WELQ(ウェルク)」の外部ライターに配布していた執筆マニュアルの文言である。他を圧倒する高いクオリティの記事を世に届ける、とは立派な志である。だが実際にDeNAが目指したクオリティとは、一般の記者・編集者が考えるそれとは大きく乖離したものだった。
昨日、DeNAの謝罪会見がありました。クラウドソーシングで人々を買い叩いてコピペ記事を量産し、SEOでPVを伸ばし広告収入を伸ばすことだけ考えて……ってそんな空虚な仕事、現場の誰もやりがいを感じられないような仕事が、プロ野球球団を所有する一流企業で推し進められていたというのが、かなしいですね。
会見で守安社長が「メディア…」と言いかけて「サービス」と言い直したのが象徴的でした。閉鎖されたサイトはメディアだったのか? サービスだったのか?
昔から、別々のものを組み合わせるのは、オンリーワンの魅力を生み出すための定石です。和のあんこと洋のパンを組み合わせた、あんぱん。
一昔前、(株)カタログハウスの「通販生活」は、通販カタログ+雑誌顔負けの読み応えでファンを獲得。
エアバンドのゴールデンボンバーは音楽番組にお笑いを持ち込んでブレイクし、芸人オリラジのユニットRADIO FISHの「PERFECT HUMAN」は、お笑いにダンスミュージックを持ち込んで再々ブレイク。なるほどー。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/tvnosukima/20161206-00065179/
DeNAがお手本として描いていたという食べログやクックパッドも、「見て面白い、使って面白い」というメディア+サービスの組み合わせの成功例とみることができるでしょう。
では、閉鎖された健康情報サイトはどうかというと、SEO対策によって見る人は増えたけど、使ったら危ない内容だったわけで、メディアとしてもサービスとしてもまずかった、と。
その失敗の一因は、サービスと医療情報という安易に組み合わせてはいけないものを、組み合わせたことにあるでしょう。そのために薬機法があるわけですし。
映画、小説、その他メディア、すべての創作物は既存の作品の組み合わせです。ハリウッドで脚本を売り込むときは、名作をどう組み合わせたかもプレゼンします。
ただし、組み合わせて新しいものを生み出すときは、その組み合わせが絶妙なのか、微妙なのかを吟味すべし、という教訓が今回の騒動から得られそうです。
一連の報道によって「ネット情報には要注意」という認識が人々の間で高まりそうなことも、教訓と言えるかもしれません。ま、すぐに忘れられると思いますけど・・・。
コピペの著作権法違反ももちろん問題で、第三者委員会で、コピペを推奨するマニュアルを誰がどういう経緯で作ったのかを明らかにして、ちゃんと公表してほしいですよね。
昨日の謝罪会見では、直接の責任者である事業部長が「海外にいる+健康上の問題」という微妙な組み合わせで欠席。会長の南場氏は会見の2日前にご主人を亡くされていて、会見に出席したというのに。
責任者は「把握してなかった」と言い逃れ、下の人間に責任をなすりつけるのはマジ勘弁してほしいですよね。その点、会長と社長の対応には誠実さを感じました。隠してそうな点はあったけど…。
昨日のDeNAの謝罪会見の模様は、例えば津田大介氏のツイッター
https://twitter.com/tsuda?lang=ja
経緯と問題点の整理は、例えばこちら↓
http://anond.hatelabo.jp/20161129225450
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