癌診断前後の怪我のリスク

病気・医療

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favicons?domain=www.bmj The BMJ 2016.12.14 UPDATE

スウェーデンのレジスタ-データと呼ばれる国民全体をカバーしているデータベースを使用しての研究です。1991年から2009年の間に癌の診断を受けた約72万人について、診断前後の32週間に、治療やクスリの影響に由来するとは考えられない怪我(骨折、打撲、浅い傷、等)で病院で手当てを受けるリスクについて検証しています。その結果、治療に由来しない事故のような怪我は診断前後の癌患者1万人につき、月6.9人見受けられ、事故のリスクは診断の前後2週間は5倍程度に上り、その後急激に下降し元に戻ります。診断後の16週間を平均した場合、リスクは2倍程度でした。

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日吉 綾子

スウェーデン・オレブロ大学 医学部 准教授

もうHealth Nudgeのどなたかが紹介されているかもしれないと思いつつ、手法も結果も印象に残った研究ですので、念のため紹介させていただきました。手法については、少し疫学的になるのですが、この研究ではクロスオーバーデザインという手法を用い、診断を受けた患者を、その1年前と比較しています。つまり、同じ個人の現在と過去を比べているわけです。多くの研究では、癌の診断を受けた時にどの程度の怪我のリスクがあるかを計算するには、癌の診断を受けていない人と比べることになります。そうすると、グループの構成がどうしても違ってきてしまいます(そのため統計的な処理をするのですが、処理し切れるかは難しいところです)。その点、自分自身への比較であるとそういった懸念が少ないと考えられています。とても上手にレジスターデータを使っているなと思いました。(同僚・知人が著者に含まれていますが、だからとというわけではありません。)

結果についても、診断の2週間前からリスクが上がるという点に目をひかれました。癌の可能性があると感じたとき、ご本人にもご家族にもいろんな感情が巻き起こると思います。心配は癌に集中するわけですが、それ以外の、普段なら思いもよらないような些細な怪我のリスクもあるのだということを知っておくのも大切思いました。一声、気をつけてねと声を掛けるだけでも、違うのかもしれません。

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