特別な運動は不要? 日常生活の工夫で病気リスク減少 (NIKKEI STYLE)
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Yahoo!ニュース 2017.02.20 UPDATE
運動が健康に良いことは分かっているけど、運動する時間がない、と悩んでいるビジネスパーソンや子育て世代の方々に朗報です。毎日の暮らしの中で当たり前のように行うレベルの身体活動が、実は、乳がん、大腸がん、糖尿病、虚血性心疾患(狭心症、急性心筋梗塞など)、脳梗塞のリスクを減らすのに役立っていることが明らかになりました。論文は2016年8月9日付の英国BMJ(the British Medical Journal)誌電子版に掲載されています[注1]。
健康のために運動をしたいと思っていても、なかなか運動の時間を作れない人は、特に働く世代には多いはず。そのような方向けに、特別な運動をおこなわなくても、日常生活の中でおこなう身体活動量を確保することだけでも、十分に健康利益は得られることを、信頼できる研究論文に基づいて解説した記事です。
元論文は英国医師会雑誌(BMJ)に掲載された論文で、システマティックレビューとメタ解析という手法を用いて、174本の論文からデータを抽出し、身体活動量とがんや糖尿病などとの関連について、量反応関係があるかどうかを検討しています。その結果、週600メッツ・分未満の身体不活動者と比較して、週8000メッツ・分以上の身体活動者のリスク減少は、乳がんで14%、大腸がんで21%、糖尿病で28%、虚血性心疾患で25%、脳梗塞で26%であったと報告しています。この週8000メッツ・分という身体活動量は、4メッツの速歩(ウォーキング)で考えると、1日あたり、8000÷7日÷4メッツ=286分(約5時間)も身体活動に時間を費やす必要があり、かなりの活動量です。
ところが、身体活動量と健康利益との間には量反応関係があり、特にほとんど身体を動かしていない人と比べると、少しでも身体を動かしているだけで健康利益が得られることが分かってきています。この論文で報告されている最低限の身体活動量は週600メッツ・分であり、これは1日あたり、600÷7日÷4メッツ=21分の速歩に相当し、これだけでも何もしないよりは糖尿病のリスクを2%下げられることになります。
もちろん、より多くの運動時間が確保できれば理想的ですが、時間がとれなくても1日20分、片道10分歩く時間を作ることくらいはできるはず。「塵も積もれば山となる」、少しだけでも身体を動かす習慣を身につけられると良いですね。
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