入院ベッド15万床削減 25年、医療費減へ在宅移行
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朝日新聞 2017.04.03 UPDATE
2025年の医療の提供体制を示す「地域医療構想」が各都道府県でまとまり、全国で計15万床以上の入院ベッドを減らす計画となった。医療費を減らすため入院患者を在宅医療に移す流れを受けたものだが、全国で1割以上の削減が必要だ。入院に代わる受け皿づくりが急務となる。
"2025年の医療の提供体制を示す「地域医療構想」が各都道府県でまとまり、全国で計15万床以上の入院ベッドを減らす計画となった。医療費を減らすため入院患者を在宅医療に移す流れを受けたものだが、全国で1割以上の削減が必要だ。入院に代わる受け皿づくりが急務となる。"
読んでとても残念な気持ちになりました。
この記事では、在宅医療とは、医療費抑制の手段と断定されているようで、非常に悲しいです。
在宅医療とは医療費を下げるために存在しているのではなく、在宅医療を求める日本人が増えてきているので整備しているという面も言及されるべきではないでしょうか?
現在8割強の日本人が病院で最期を迎えています。
皆さんは病院で最期を迎えたいですか?
私は(もちろん状態にもよりますが)できれば自宅がいいです。
それは、わたしだけではなく多くの日本人が同じ考えのようです。
厚労省が公開している資料でも4割以上の人が、できれば自宅で、と答えています。(以下のP.10など)
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/dl/h24_0711_01.pdf
国民が希望するものを国が整備を主導する。
これは当然の流れではないでしょうか。
そもそも、在宅医療=安上り、というのは非常に一面的な見方だと感じます。
記事を書いた方は、医療費の計算方法を理解されているのでしょうか。
医療費が高くなるかどうかは、診療報酬の点数をどうつけるか次第です。
例えば、入院の点数を下げ在宅に高い点数をつければ、入院医療のほうが安くなります。
また、社会全体で、在宅医療が普及したほうが本当に効率的(安上り)なのでしょうか。
在宅で医療を受けるには、医者が自宅を訪問する必要があります。
在宅医療では、一人の医者が、見ることができる数はせいぜい10人ちょっとでしょうが、入院では、倍はカバーできるでしょう。
(これはもちろん医者や病状にもよりますが、ラフな計算で)
どちらが効率的でしょうか??
上記の議論から、在宅医療の点数を下げればいいという人もいると思います。
実際数年後それが起こると思います。
しかし、在宅医療は、一定の値段を下回ることはできないと思われます。
なぜか?
医者の給与は一般に高いので、1日10人分程度しか診療報酬を得ることができない状態で、経営的に回らないようでは、そのようなサービスを提供する診療所は存在できません。
つまり、在宅医療の診療報酬の点数は、ある一定額を下回ことは理屈的にあり得ないと思います。
では病院と在宅、どちらの底値がより安くできるか。
それは、入院医療と在宅医療への医者(はじめ医療従事者)への最低限のラインをどこにひくか、に依存すると思います。
例えば、在宅医療では、現行では、医者は最低でも月に1-2回訪問すると思いますが、そうではなく、原則医者は訪問せず、(より人件費が安く人数の多い)ナースが定期的に訪問する、というルールにすれば、在宅医療がより安いものになると思われます。
今後、日本ではどのような体制を在宅医療としていくか、国民的な議論が必要と思います。
そのためには、マスコミが一面的な内容の記事を提供するのではなく、適切な情報提供することが必要であると思います。
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坪谷透
東北大学大学院歯学研究科 助教、博士(医学)、医師
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読売新聞(ヨミドクター) 4/4(火) 12:14配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170404-00010001-yomidr-soci&p=1
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