ベテランが名医とは限らない! 時代遅れの技能や知識が患者の死を招く?
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Health Press 2017.06.06 UPDATE
米国ペンシルベニア大学健康アウトカム・政策研究センターのLinda Aiken氏は、若齢医師に比べ高齢医師が治療すると、「65歳以上の入院患者が30日以内に死亡するリスクがやや高まる」とする研究を『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』オンライン版に発表した(「HealthDay News」2017年5月16日)。
今回取り上げられている論文自体は以下のサイトで全文読めます。
http://www.bmj.com/content/357/bmj.j1797.long
ハーバード大学の津川友介さんという方が著者で、ご自身のサイトでも日本語で紹介しているのでそちらを読むとよくわかります。
https://healthpolicyhealthecon.com/2017/05/17/physician-age-study/
女性医師のほうが男性医師より治療成績が良いとか、アメリカではアメリカ人医師より外国人医師の治療成績が良いとか、大規模で重要な研究をいくつも発表していて、最近よく新聞や雑誌などでも取り上げられることも多い方で、すごいなと思います。
若い医者の方が新しいことを勉強しているし、勉強に割く時間も多いような気がします。一方で医学では以前から変わってないこともたくさんありますし、経験がものをいうこともたくさんあります。死亡率の差は統計学的には有意ですが、別に2倍とか3倍違うわけではありません。また平均すると若い医者のほうが死亡率が低いけど、そのなかには死亡率が高い医者も低い医者もいるでしょう。若い医師はだめでベテラン医師が良いと思い込んでいる方は考えを変えたほうが良いと思いますが、この研究結果をもとにベテラン医師ではなく若い医師に診てもらった方がいいとも言えないと思います。
ちょっと強引ですが、先日NHKの「ドキュメント72時間」で婚活が取り上げられていたので、例にとると、仮に血液型Aの平均年収が400万円で、Bの平均年収が420万円だという研究結果が出たとしても血液型だけで相手を選んだりはしませんよね。平均年収を決めるのは血液型以外の要因もいろいろあると思います。そもそも結婚相手の判断基準は年収だけではないですよね。
性格はどうでもいいから手術のうまい医師がいいとか、病気や薬のことはそんなに詳しくなさそうだけどいつも親身に話を聞いてもらえる医師がいいとか、人によって、また病気や状況によって、どんな医師がいいかは違いますよね。
医師に限らず何の職業でも生涯勉強や訓練をしていかないといけないと思いますが、必ずしもその仕組みはちゃんとしておらず、個人任せになっていると思います。今回の研究などをもとに、医師の生涯学習の仕組みづくりなどに生かせたらいいですね。
ちなみにLinda Aiken氏が発表した論文となっているのは間違いで、津川さんが著者です。今回のように注目に値する論文に関連して、editorialという他の専門家による解説文のようなものがあるのですが、そちらの著者がAikenさんです。
今回の記事は文章中にもあるようにHealthday newsという英文サイトをもとにしているようですが、そちらは間違ってないので、日本語訳の過程で間違ったのでしょうか。
https://consumer.healthday.com/caregiving-information-6/hospital-news-393/your-doctor-s-age-might-affect-your-care-722751.html
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