受動喫煙は「タバコ脳」をつくる 喫煙者が禁煙しやすい環境作りを(西多昌規)

病気・医療

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favicons?domain=news.yahoo.co Yahoo!ニュース 2017.06.22 UPDATE

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わたしは精神科医だが、禁煙治療に携わった経験がある。精神疾患をもった喫煙患者からの禁煙相談が増加し、(当時勤務していた)病院としても対応の必要が生じてきた時代要請がある。さらに禁煙補助薬バレニクリン(商品名チャンピックス)の副作用には不眠、不安など精神症状が記載されており、一般禁煙外来にてバレニクリンの処方をためらわれ、慎重を期して精神科に紹介する例が増えてきたという背景もあった。この機会に、タバコ依存について触れてみたい。

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今村文昭

ケンブリッジ大学医学部 MRC疫学ユニット

恐れ多くも知り合いである、西多先生(精神科医)の記事。

私も別のところで受動喫煙に関する事柄を書きました。その際に気をつけたことの1つは喫煙している方にも読んでもらえるようにということです。そういう点も抑えているようで素晴らしいと思います。文面にあるように喫煙を止めたくても止めれない人が多い現状を知った専門家ならではのスタイルではないでしょうか。

生理学的な解説も含み、「タバコ脳」について述べています。便宜上、学術的でない表現を選んだものと思いますが理解しやすいですね。ただ引用されている文献(5)は面白いのですが、車内での受動喫煙(1時間)の効果を検証したものであり、さらに慢性的な中毒症状ともいえる効果を示しているかというとそうとも言えない研究なので注意が必要です。

また文献(4)はメタ解析ではありません。エビデンスの質を判断する基準からすると、引用文献からは受動喫煙が「タバコ脳」を作るというのはちょっと弱いですね。ただそれでも文献(4)では次のように結論付けており、他の既存のエビデンスと合わせて参考にすべき知見と思います。

•受動喫煙は、喫煙をする、喫煙を始める機会を増やす
•受動喫煙は、ニコチンへの依存性を上げるかもしれない
•受動喫煙は、禁煙の妨げになる

公衆衛生のエビデンスを求めると、がんや循環器系疾患といった死亡率に直接関与する話が先行しがちです。しかし、精神医学の領域でも臨床心理学的、あるいは脳神経科学的な研究があり、こうして紹介されるのはとても有益と思います。

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