「食べる油」の真実をどれだけ知っていますか

食事

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favicons?domain=toyokeizai 東洋経済オンライン 2017.07.10 UPDATE

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モノ情報誌のパイオニア『モノ・マガジン』(ワールドフォトプレス社)と東洋経済オンラインのコラボ企画。ちょいと一杯に役立つアレコレソレ。「蘊蓄の箪笥」をお届けしよう。 蘊蓄の箪笥とはひとつのモノとコトのストーリーを100個の引き出しに斬った知識の宝庫。モノ・マガジンで長年続く人気連載だ。今回のテーマは「食用オイル」。あっという間に身に付く、これぞ究極の知的な暇つぶし。引き出しを覗いたキミはすっかり教養人だ。

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今村文昭

ケンブリッジ大学医学部 MRC疫学ユニット

「空前のオイルブームに氾濫する情報、自分に必要なオイルはどれ?(写真:Alex9500 / PIXTA)」
http://toyokeizai.net/articles/-/178215

100の薀蓄というのは面白い試みだと思います。食にまつわる雑学的な内容はいつも面白いですね。

タイトルに“「食べる油」の真実をどれだけ知っていますか”と書かれていれば、つい内容を鵜呑みにしがちですが、正しいこと、曖昧なこと、間違っていることが混在しています。妥当な要約をすると、「なるべく新鮮な、液状の植物油を使った食事を営みましょう」ということになります。

この記事の内容(および一般的な栄養情報)は次の2つに分けられます。
(1)食品の成分の情報
(2)身体に与える影響に関する情報

(1)は真実であることが多いです。専門家でも異論のないであろう内容です。しかし、身体に良いか悪いかという話とは切り離しましょう。栄養系の話となると「○○には△△が多い/含まれているので身体に良い/悪い」という表現をすることが多いですが、これは残念ながら机上の論です。

(2)は、医学的な根拠(エビデンス)があるか否かのデリケートな内容です。膨大な科学論文をバイアスや不確かさを加味して精査した礎があって、情報の価値が生まれます。その情報を抽出することはとても難しいことです。たとえ専門家が誠心誠意、書いたとしても誤りがあります。厳しいですが、この類の情報は信じないことを前提に読みましょう。

この記事の著者は種々の脂質に関するウェブサイトの情報、脂質に関する書籍を読んだようです。こうした情報源の科学的な価値は低いとされています。科学的な情報といっても都合よく、個人的な意見をサポートするように選ばれていたりするからですね。

上記の2点を踏まえて、この記事にある油脂の摂取と健康に関する情報の価値にハンコは押せません。「こういう事を言っている人もいるのですね。面白い。」という程度でよいと思います。

 
ーーーー 2点について少しだけ解説

(1)・・・正しいことが多いですが、古い情報も含まれており今では更新されている情報もあります。トランス脂肪酸に関する内容がそんな情報のひとつです。

(2)・・・健康との関係について、この記事には「仮説」が書かれているのみで、栄養学、医学界の専門家の間でコンセンサスが得られた内容は少ないです。「効果があるとされる」「いわれている」と書くことで、通説のような印象を与えますが、多くが一部の専門家が言っているだけの内容として有名です。たとえば薀蓄54,55にはある種の脂質(オメガ6脂肪酸)の健康への悪影響が記載されていますが、人を対象にした多くの研究(臨床試験含む)を総合的に考えると健康によいとされています。

(写真:Alex9500 / PIXTA)

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