青年期の脳震とうが多発性硬化症のリスクを増大させる

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favicons?domain=healthscience 健康科学速報 2018.01.18 UPDATE

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新たな研究によって、脳への損傷が長期的な影響を及ぼすことが示唆された。青年期に脳震とうを経験した人は後に多発性硬化症を発症するリスクが高まるかもしれない。

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日吉 綾子

スウェーデン・オレブロ大学 医学部 准教授

2017年9月に発表した研究で、その後いろいろな国のメディアに取り上げられました。やや時期を失しましたが、ご紹介しようと思っていました。

記事にあるとおり、幼少期・青年期の脳震とうの経験と、将来の多発性硬化症(MS)発症のリスクを検証した研究です。

発表後、関連があるように見えたのは、MSを発症する患者は、以前から転倒しやすい傾向にあるからではないかとの指摘を受けました。

その点について、そもそもその懸念はあったので、論文では、手足の骨折の経験とMSのリスクを合わせて検討しました。MS患者が転倒しやすいのであれば、骨折の経験とも有意に関連しているはずですので。結果は、脳震盪とのみ有意に関連していて、骨折とは関連していませんでした。

また、指摘を受けた後のReplyと呼ばれる論文の中で、MSの発症時期の記録のある者の中で、30歳以降にMSを発症したものと、20歳以前の脳震とうの関連を再検討しました。MS発症前の転倒しやすさなどは数年先行することがあるようでしたので、10年間隔をあけることで十分なインターバルが取れるように思えました。関連は、もともとの論文で発表したものよりずっと強く、改めて、脳震とうとMSの関連が確認されました。

Swedenのレジスターデータを上手に使った研究でした。特に、Replyの中での検証を可能にしたのは、Quality registerと呼ばれるデータ郡のひとつである、MS患者に特化したNational registerの存在でした。100以上あり、今も増えていっていると思います。普通の病院利用等のレジスターよりより細かい治療、経過、発症、症状等の詳細なデータを記録し様々な研究を可能にしています。

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