「若い血を輸血して老化を防止」事業者に聞いた「効果ある?」
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NEWSWEEK 2018.02.28 UPDATE
若い血液を輸血すると、認知機能や神経機能の若返りに効果的──。14年、そんな注目の研究結果が発表された。米スタンフォード大学の研究者らがマウスに若い個体の血漿成分を注入したところ、「シナプス(神経細胞同士の結合部分)の可塑性を若返らせ、認知機能を向上させることが可能」だと分かったという。 同じことが人間にも当てはまるはずだと、ジェシー・カーマジン(33)は考えている。同大学で医学を学んだ彼はアンブロージア社を立ち上げ、16~25歳の若者の血漿成分を輸血する「臨床試験」を開始。倫理審査はクリアしており、35歳以上で費用8000ドルを払えば誰でも参加できる。 カーマジンによれば、顧客の大半は健康で定年退職前後。効果は上々で満足度も高いらしい。
実は、若いドナーの血液を輸血された人で死亡率が若干高くなるという研究が最近発表されています(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27398639)。同様の研究で死亡率には関連がないとするものもあります(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28437543)。まあこちらの研究は赤血球の輸血なので、今回記事で取り上げられているものとは異なりますが、赤血球でもこのような研究が可能であったのなら、死亡については同様に血漿でも大規模データが出てくるのではないでしょうか。
ただ、この会社の目的は「老化の抑制」なので、他の疾病についての効果についてはこの臨床試験の結果を待たないといけないのではないかと思いますが、どういう結果になるのでしょうね。開示していない動物実験の結果も気になるところです。
また私自身も、臨床試験といいつつ、かなりの大金を徴収し、対象者を「顧客」といっているのに引っかかりを覚えたのですが、2016年の記事でも臨床試験なのに金銭目的とは・・・?という疑問は指摘されているようでした(衝撃のアンチエイジング「若者の血を輸血して若返る」がビジネスになろうとしている https://tabi-labo.com/274834/antiaginggdf11)。サイエンスの批判記事はこちら(Young blood antiaging trial raises questions http://www.sciencemag.org/news/2016/08/young-blood-antiaging-trial-raises-questions)。
うーむ。私なら参加しないけど、やっぱり若返るといわれると参加してしまうお金持ちも多いのでしょうか・・・。この会社とこの研究の今後の行方がきになります。
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