食事中のカロリーを気にするのは時代遅れです
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集英社新書プラス 2018.04.28 UPDATE
女性医師に診てもらった患者の方が、男性医師に診てもらった患者より死亡率が低い――。 2016年、こんな驚きの論文を発表し世界中から注目を集めた、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)助教授で医師の津川友介氏。 津川氏の専攻は「医療政策学」だ。 世界中で発表される膨大な数の医学論文から根拠となっているものを分析し、そこから得られた知見を「医療費の自己負担額は何割が適切なのか」といった実際の政策に結び付けることを研究している。いわば、医療に関するデータ分析のプロだ。 そんな、「ある研究が信頼できるかどうか判断し応用する専門家」の津川氏が、世界中の研究を集めて健康的な食事について一冊にまとめたのが『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』だ。・・・
この記事のタイトルにあるカロリー関係の話は2ページ目にあります。
そして「健康な食事をするとカロリーが減っていく」とされていますが、これは大きな誤りと言わざるを得ません。そのポイントに絞って述べたいと思います(注1)。
その話の核となるスタンフォード大学の研究はJAMAという有名な学術雑誌に掲載された論文です。残念ながらこの記事では大事な部分が適切に紹介されていません。その3点を挙げます。
①まず比較されたのはカロリー制限食と低炭水化物食ではなく、低脂肪食と低炭水化物食です。
②そして大事なのは最初の2ヶ月間、低脂肪食のグループでは脂質の摂取を一日20グラムを目標とする指導があり、低炭水化物のグループでは炭水化物の摂取を一日20グラムを目標とする指導があったことです。
脂肪20グラムというのはチーズ60グラムほど、
炭水化物20グラムというのはスパゲティ一日60グラムほどです。
かなり厳しい食事かと思います。これを2ヶ月頑張ることが指導され、残りの10ヶ月、少しずつ徐々に増やしていいよというような指導が施されています(注2)。
③そしてそれと同時になるべく加工されていない食品を避け、栄養価の高い食品を選ぶように指導されています。
さらにさらにそれだけではなく目的意識・動機を保つためのグループセッションがあったり運動の指導があったり・・いろいろな指導があったという研究なのです。その指導の中で唯一、2群で異なったのは脂質を下げるのか、炭水化物を下げるのか・・という点だったわけです。また参加者は平均96,7キロというかなり太っていて体重の落ちやすい方々、スタンフォード大学近辺の比較的恵まれた環境の方々だったり・・(注2)。
研究のデザイン上、カロリー摂取の低下に寄与したのは参加者の皆さんが一緒に、 極端な低脂肪食、あるいは低炭水化物食を頑張ったことが大きいと考えるのが妥当です。また運動や動機付けなどが功を奏したのかもしれません。そもそも研究に参加したこと自体がモチベーションとなったかもしれません。多くの因子が考えられる中で 健康な食品を選んだからこそダイエットに成功したと断定するのは無理があります。
トップクラスの研究を紹介・・・とすれば、一般の方にはそれだけで説得力を持ってしまうのでできる限り正しく紹介する姿勢が大切と思います。自分のありたい方向に解釈する事は好ましくないですね。
注1:他にも解釈や理解の問題点など散見されますがここでは避けたいと思います。
注2:多くの研究参加者は厳しい指導に正確に従うことはできていませんが、それに近づけようと頑張った様子が研究中の食事調査結果から判断できます。
注3:この問題点はJAMAの論文の著者も言及しています。
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北野彰
1.報告されています
2.分かっています
3.考えていいと思います
4.健康になれるんですね
5.おすすめしています
これの違い分かりますか?
文章のニュアンスだけで考えてください。
1.2はエビデンスがあるって意味。
3.4.5はエビデンスではなく津川さんの考え。
それから死亡率が下がる事を健康になれると表現しますか?
おかしいです。
文章を伝える能力を磨いてください。
>つまり、体にいいものを食べていれば自然とカロリーも減っていくということです。
これは余計です。
自分の文章力に自信がないからつまりを使うんです。
津川さんはプロですよね?
>健康に良くないものを一切全く食べるなと言っているわけではないんです。
>私はたいてい朝はフルーツしか食べないし、お昼はほとんど野菜ばかりですが、それでも肉を食べないわけではありません。
津川さんはどうやってタンパク質を摂っているんですか?
疑問に思う事が多いです。
著書の中で大さじと小さじを間違えたり。
普段から実施してたら間違えないと思うんですが。
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