症状のない人の腫瘍マーカー検査 がん早期発見は困難
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毎日新聞 2018.05.07 UPDATE
人間ドックの「腫瘍マーカー検査」は、採血だけでできるがん検診だ。患者のがんの進行具合を把握するのにとても役立つが、健康な人が利用してもがんの早期発見はかなり難しく、専門家もマーカーの使い方には注意を呼びかけている。
胃カメラとかレントゲンとかやらずに、血液検査だけで癌が診断できる腫瘍マーカーって便利そうですが、使い方をちゃんと考えないと、かえって悩んだり困ったりすることになりますよ、という話です。
感度80%(本当にがんの人のうち80%の人をがんと診断できる)、特異度80%(がんではない人のうち80%の人をがんではないと診断できる)というと優れた検査みたいですよね。でも人間ドックなどのように健康で癌の可能性が低い人でシミュレーションすると、腫瘍マーカーで癌が疑われたという人のほとんどは癌がない、ということを具体的に数字で示していてわかりやすいなと思います。わずかでも見つかればいいのでは、というのもわかりますが、がん疑いと判定された人の受ける精神的・経済的なことも含めたデメリットも無視はできないと思います。
感度や特異度か95%くらい高くても、数字は変わりますが、この問題はやはり残ります。検査がどれくらい役に立つのか、という点では、どれくらいその病気を持っていそうか(検査前確率とか有病率)、が大事なんですよね。30歳で、症状がなくて、タバコを吸わない人と、70歳で、長引く咳があって体重もかなり減っていて、ヘビースモーカーの人では、同じ腫瘍マーカーが高いとしても、本当にがんがある可能性は異なるし、そもそも腫瘍マーカーの有用性も異なるということです。
後半の文章がちょっとわかりづらいというか、誤解を招くというか、賛同しづらい部分はあります。癌があって治療中の人とか、いったん治ったけど再発の可能性がある人については定期的に検査することもあるし、それなりに役に立つと思うのですが、特に何もない人が定期的に腫瘍マーカーを調べて、少しの上下に神経を使う必要はあまりないような気がします。
先日もヘルスナッジで腫瘍マーカーのデメリット・考え方について取り上げていますのでそちらもどうぞ。
医師が健康診断の腫瘍マーカーを勧めない5つの理由
http://healthnudge.jp/12261
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