酒匂 赤人

国立国際医療研究センター国府台病院総合内科医師　公衆衛生学修士

おにぎりを素手で握ることの善し悪しについて、一方的にならず、またいろいろな切り口で書いていて、面白い記事だなと思いました。
昨年8月の記事ですが、おにぎりを素手で握るべきかどうかの話題がちょっと盛り上がっているので取り上げました。
「おにぎりは発酵食？　素手でにぎることを勧める雑誌記事に驚いた」
http://healthnudge.jp/12297
の元の記事に引用されている記事です。

素手で握ったほうがおいしいかどうかについては、素手のほうがおいしいと考えている人が結構いるようです。どちらのほうが多いのかはわかりませんが。実際に味がおいしいのか、味がおいしい気がするのかは難しいですよね。自分が好意を持っている人が握ってくれたらおいしいと感じるかもしれないし、あまり好きではなくて服装や髪形に清潔感がないなと思っている人に握ってもらってもおいしくは感じないかもしれないし。スーパーで期限間近で安売りしていたサバを買って自宅で一人で食べるのと、友達と大分に行って関サバを食べるのとでは、味自体も違うだろうけど、気持ちの問題も大きいですよね。

味が違うかを科学的に比較したければ、食べる人に見えないところで、あらかじめ決められた素材・手順・時間に沿っておにぎりを作り、その際に素手で握るか、手袋で握るか、また仲の良い人が愛情をこめて握るか、見知らぬ人が握るか、などの条件をかえていくつかおにぎりを作り、食べる人には何もしらせずに食べてもらったうえで、味に違いがあるか、どれがおいしいか決めてもらえば、先入観が影響せずに評価できていいですよね。

自分ではそのような実験をする気はないのですが、過去にそんな研究ってないのかなとごく短時間検索したところ以下のブログが見つかりました。
http://www.ringo-blog.tokyo/entry/2018/01/04/170000
別に研究ではないし、明らかに素手で握ったものとラップで握ったおにぎりが違うものになっているし、握った人も食べた人も1人ずつなのですが、どちらが本当にいいのか確かめてみようという発想としては、どちらが素手で握ったのかわからないようにして食べてもらったやり方は科学的だなと思います。

テレビや雑誌などで取り上げられる健康食品とか健康法に関しても同じようなことがいえるので注意してみましょう。ただし、おいしい気がするとか、健康な気がするとかは科学的ではないかもしれないけど、人にとっては十分価値があることだとは思うので、それを否定しようというつもりはありません。