「ただの運動」が脳をとんでもなく変える理由
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ダイヤモンドオンライン 2018.06.17 UPDATE
HOME ライフ 書籍オンライン HEAD STRONG シリコンバレー式頭がよくなる全技術 2018.6.1 「ただの運動」が脳をとんでもなく変える理由 デイヴ・アスプリー 栗原百代:翻訳家 バックナンバー一覧へ このエントリーをはてなブックマークに追加 印刷 A A シリコンバレーでIT企業家として長年活躍してきた著者が、ITの専門家としての技能を生かして、自らの体を「バイオハック」し、さらには23年の歴史を持つパロアルトのNPO、シリコンバレー保健研究所の所長(後には会長)として、さまざまな医学分野のエキスパートからの知識も総合し、現在の科学の最先端の脳の機能UP法を1冊にまとめた。タイトルは『HEAD STRONG シリコンバレー式頭がよくなる全技術』。本稿では、同書から特別にそのハイライトを紹介したい。
「『ただの運動』が脳をとんでもなく変える理由」が「HEAD STRONG シリコンバレー式頭がよくなる全技術」という書籍に書かれているそうです。著者はシリコンバレーでIT企業家として長年活躍してきたITの専門家だそうです。この書籍を紹介してるこの記事によれば、運動によってPGC-1アルファというタンパク質が放出され、ミトコンドリアに良い影響を与え、脳や体を強化する。運動すると筋肉がFNDC5というタンパク質を放出し、海馬の脳由来神経栄養因子(BDNF)濃度を高め、神経が発生する。このようなメカニズムをCell Metabolismの論文などを引用しながら解説しているようです。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24120943
本書を読んでいないので、詳細は分かりませんが、ちょっと危険だな、と感じたのは、英語論文を引用していれば、科学的に信用できる情報だと思われてしまいがちなところです。この記事はありがたいことに、いくつかの文献をリストしてくれているのですが、その雑誌とタイトルを見る限り、基礎医学的な論文が多く、メカニズムを明らかにした研究をたくさん引用しているようです。メカニズムを明らかにするためには、例えば脳内のタンパク質の発現量を定量化する必要がありますので、ヒトを対象とした実験は不可能なことが多く、そのためマウスなどを使った動物実験が多くなります。そこで、マウスに運動させるとどうなるか、ということが分かる訳ですが、そのことが必ずしもヒトで再現されるとは限りません。
基礎医学でメカニズムが証明されたことを、ヒトでも実証されるかどうかを検証できれば「エビデンス」と呼ばれる科学的証拠となります。しかしながら、メカニズムだけではエビデンスにはなり得ません。メカニズムが明らかであるにもかかわらず、医薬品としては認可されなかった化合物がたくさんあることからも、そのことはご理解いただけるものと思います。信用できるエビデンスは、「ヒトを対象としている」ことが大前提であり、その手法を用いた群と用いなかった群とを比較したランダム化比較試験によって、その有効性が示されていて、さらに異なる集団でも追試・追認され、それぞれが医学論文として発表されている必要があります。このような考え方は以前のヘルスナッジでも紹介されていますので、参考にしてください。
http://healthnudge.jp/11564
なお、本書の内容を否定するつもりはありません。ただ、おそらくは研究熱心な著者による自身の経験も加味した仮説であり、ヒト集団を対象に有効性が科学的に証明された手法ではないと思われます。そのため、書籍に書かれている内容を「鵜呑み」にするのではなく、批判的に吟味しながら「そういうこともあるかもね」という程度に受け取るのが良いのではないかと思います。
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