高地で育つ人の前腕は短い、その仕組みは謎 ヒマラヤ研究
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jiji.com 2018.06.21 UPDATE
人間は極度の高地で育つと、成長過程で身体がエネルギーの節約を余儀なくされ、腕が短くなる可能性があることが、20日に発表された研究論文で明らかになった。 英国王立協会(Royal Society)のオンライン科学誌「ロイヤルソサエティー・オープンサイエンス(Royal Society Open Science)」に掲載された論文によると、高度3500メートル以上で生まれ育ったネパール人の男女は、類似の祖先を持つ低地出身の人々と比べて前腕が短い傾向があることが分かった。一方、興味深いことに、前腕と隣接する上腕と手については、両者に差はなかった。 これまでの研究ではペルー人の子どもらに同様の傾向が発見されており、山岳地帯の過酷な条件がその一因とする説を裏付けている。
環境の違いによる成長の変化について、高地(低気圧・低酸素が代表的な環境)による影響を調査したものです。
高地で育つ人は、前腕が短くなるその仕組みやその意味は不明としつつも、酸素濃度が関係している可能性が述べられています。酸素摂取量を向上させることで短くなるのであれば、前腕だけでなくそのほかの部位も小さくなっていても良いように思います。しかし、低地の人の上腕と手には差がなかったということです。
一方で、極限環境で成長順位が決定された結果、前腕が進化していないこと、つまり前腕の長さはそんなに重要ではなかったという見解も述べられています。
前腕は重要だから酸素摂取効率を高めようとしたこと、長さは酸素摂取効率よりも重要ではないから短くした。このことが、環境に適応するための結果であれば進化と言うことができるかもしれません。
また、大気が希薄な環境下では、胎児の段階から影響を受け適応しているという指摘もされています。
前腕の役割・機能やその意味、人間の進化の過程には、我々の想像を超えた自然の摂理が含まれているのかもしれません。このような研究による発見は、様々な分野の研究テーマに波及し、人間を解明する入り口や動機になりますね。
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