韓国で皮下注射の痩せ薬が大ヒット。誤った乱用が相次ぎ社会問題に
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ハーバービジネスオンライン 2018.10.30 UPDATE
今、「サクセンダ」(一般名=リラグルチド)というダイエット薬が韓国で話題になっている。 ノボノルディスクファーマ社が発売する、食欲を抑制し満腹感を与える事によりカロリー等の摂取を抑制する次世代の減量薬だ。日本ではまだ発売されていない。 減量薬と言えば、過去にはその副作用が大きなニュースになった事から抵抗感がある人も少なからずいるだろう。
こういう記事って犯罪の手口を紹介するものと同じような感じで、「やってみよう」と思わせてしまう部分もあるのがジレンマで、ちょっと迷いましたが、結構驚いたのと心配だったので、とりあげることにしました。
リラグルチドは糖尿病の治療にも使われる注射薬です。血糖を下げる効果もあるし、糖尿病の薬には体重が増えてしまう薬もあるけど、体重が増えないというか減らす効果もあります。僕自身は糖尿病の専門家ではないので詳しいわけではないですが、吐き気などの胃腸障害が副作用としてよく出るため、僕が知っている患者さんでも副作用で結構つらそうにしている人もいました。
過去の記事を見る限り、この記事を書いている方は韓国に詳しい方のようで、特に医療やダイエットに詳しいわけではなさそうです。ただ、海外のことだし、ちゃんとした医療ではない危ない薬の使い方の話なので、あまり検証はできないけど、何となくちゃんとした記事のような気はします。
この記事ではなくネットで調べると、糖尿病で認可されている薬だから効果も証明されているし、副作用も安心なやせ薬、みたいなことを書いているものがありました。確かに薬が認可されるためには今は結構ちゃんとした治験をやって、効果があることを科学的に証明しなくてはなりません。でもこの薬で証明されているのって、日本人を含めた糖尿病の患者さんの血糖に効果があることと、アメリカや韓国のBMI30以上の人の体重減少に効果があるってことですよね。BMI30って、170㎝だとしたら87㎏なので結構な肥満ですよね。
あと認可されている薬は副作用がなくて安全なわけではありません。何の薬でも副作用はあるので、その薬の必要性や効果と比べて、副作用が許容できるのかということになります。糖尿病はちゃんと治療しないと命にかかわるから副作用の危険をおかしてでも治療する価値はあるけど、ダイエットってどうでしょう。日本人で、ちょっとぽっちゃりしているとか普通くらいの人で、どのくらい効果があって安全なのかわかりませんよね。糖尿病や高度の肥満がない人が医師の診察なしに自分で注射するってかなり危ないと思ってもらえたらいいのですが。
認可されていない治療や保険が効かない治療を自由診療でやっているクリニックって、癌の免疫療法もそうですけど、結構怪しいし、かなり高いし、副作用とか起きてもあまり対応してくれなさそうだし、行かないほうがいいと思う、というのが普通に働いている医者の多くが思っていることだと思います。そうじゃないところもあるかもしれないけど、相当レアではないかと。お金を出せばおいしいものが食べられると思いますが(出さなくても結構おいしいものは食べられますけど)、お金を出せば特別いい治療が受けられるわけではないと思うんですよね、日本の保険制度って良くも悪くも公平なので。
先日のヘルスナッジの記事も参考にどうぞ。
「ノーベル賞受賞で相談殺到 誤解してほしくない免疫療法」
http://healthnudge.jp/12374
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