米国で使用禁止になる「トランス脂肪酸」
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日経Gooday(グッデイ) 2015.06.22 UPDATE
(2015年6月21日 日経Gooday(グッデイ)より) 米国において、一部の菓子類やマーガリン、揚げ物などに含まれ、心臓疾患のリスクを高めるとされる「トランス脂肪酸」の原因となる油の使用が禁止されることになりました。トランス脂肪酸は、悪玉とされる血中のLDLコレステロール値を上昇させて動脈硬化の原因となり、その結果として心臓病のリスクを高めるとされています。そのため、米食品医薬品局(FDA)は6月16日に、3年間の猶予期間を経た2018年6月以降は、食品への添加を原則認めないという方針を発表したのです。FDAは今回の決定によって、「致命的な心臓病を年に数千件減らせる」としています。
日本人と対象としてトランス脂肪酸の摂取量を推定した学術論文は、ぼくが知る限りではひとつしかありません(Yamada et al. J Epidemiol. 2010;20(2):119-27.)。この研究では30~69歳の男性106人、女性119人の食習慣を、食べたものを重量を含めてすべて記録してもらう食事記録を1年間にわたって合計16日間実施して評価しました。トランス脂肪酸が総エネルギー摂取量に占める割合が1%を超える人(WHO基準)は、男性で5.7%、女性で24.4%でした。この数字をどう解釈するかについてはいろいろな意見があると思われますが、日本には科学的根拠がこの論文しかないということと、アメリカのアクションの背景には山のような論文の蓄積があるということはしっかり認識すべきだと思います。
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