撮影台の傾斜で滑落・体勢を確認せず操作 検診車死亡報告書
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朝日新聞デジタル(アピタル) 2015.06.30 UPDATE
(2015年6月6日 朝日新聞デジタル(アピタル)より) 沼田市のブラジル国籍の女性が検診車内でX線撮影の際に死亡した問題で、検診を実施した全日本労働福祉協会(東京)は26日、設置した事故調査委員会の報告書を公開した。事故の要因については、頭を下にした状態で撮影台を左に傾けたことが滑落を招いたことや、放射線技師が女性の位置を監視モニターで確認せずに撮影台を動かしたことなど複数の要因が重なったと結論づけた。 沼田署によると、沼田市恩田町のパート、マスコ・ロザリナ・ケイコさん(58)は5月8日、胃のX線の撮影の際、撮影台と車内の壁に挟まれ、死亡した。県警は、業務上過失致死の疑いで立件も視野に捜査している。
痛ましい事件、被害にあわれたご本人のご冥福を祈ります。
健康を維持増進するためのはずの検診で命を落とす、というのは本末転倒。安全性の確保に向けて徹底した改善をしてもらいたいです。
胃の透視検査は胃カメラに比べて短時間で多くの人を検査でき、胃がんなど重要な疾患をしっかりと発見できる技術として普及してきました。
しかし、確かに、何度やってもあっちこっち体を振り回されて怖い検査ですね。造影剤飲むのも一苦労ですし・・(胃カメラ飲むのも一苦労ですが)
とはいえ、胃がんは早期発見すれば十分治癒可能な疾患です。胃がんは日本人に多いがん。安全性を確保して、検診は続けていきたいものです。一方、検診を今回のように胃のレントゲン撮影で今後も行っていくのか、胃カメラ(内視鏡)など別の方法に切り替えていくのかなど、今後、検査成績やコストなどについてのデータを集めて今一度検討してくべき時期に来ているのかもしれません。
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近藤尚己
東京大学 大学院医学系研究科 健康教育・社会学分野 保健社会行動学分野 准教授 医師 社会疫学者
胃がん検診の新しいガイドライン、今日のニュースになっていましたね! しかし、伊藤さんがおっしゃるように、胃カメラは結構重装備。医者、看護師最低2人、カメラ洗浄器、鎮静剤の注射やのどの麻酔など、結構てまがかかります。検診のメインとなった場合、検診が必要な人をさばけるだけそういった体制を整えられるのかが議論になりそう。
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坪谷透
東北大学大学院歯学研究科 助教、博士(医学)、医師
胃がん検診について、胃カメラかバリウムか?これに関して、なぜRCT(患者さんのをランダムに割り付ける比較試験)が行われないんでしょうかね??
世界でできるのは日本だけだと思いますし、人類にとっても価値があると思いますが、それが進んでいないようで残念です。
以下は非・科学的な議論です。
データは持ち合わせていませんが、バリウムよりは胃カメラという現場の声はよく聞きます。
「バリウムの読影はあまり自信ないから、胃カメラの方がいいなぁ」という友人(若手の消化器内科医)もいるような状況です。もはや若手には胃カメラの方がなじみがあると思います。
まぁ普通に病院で勤務しているだけでは、胃カメラはたくさん経験しても、バリウムの画像はほとんど目にしないでしょうからね。。。
ということで将来的には、キャパシティーという視点でも胃カメラにシフトしそうな気がします。
また、時間という点からも、胃カメラは早い人は早いでしょう(バリウムの方が時間かかりそうな気がしますか??)
政府見解として「胃カメラでやります」となれば、それに応じてやる人(医者)も増えるような気もします。
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伊藤ゆり
大阪医科大学 研究支援センター 医療統計室 室長・准教授 博士(保健学)
検診にはどうしてもなんらかの不利益(過剰診断、偽陽性や見落としなど)が生じますが、この事故はとても残念ですね。安全第一に検診が実施できる体制を整備してほしいです。
つい先日、新しい胃がん検診のガイドラインが公表されました。検診実施のキャパシティの観点からすぐに内視鏡検査のみに移行するのは困難でしょうが、エックス線での検診から徐々にシフトしていくのではないでしょうか。
http://healthnudge.jp/3466
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