町医者だから言いたい!《1922》“本物のがん”ってなんだ?

病気・医療

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favicons?domain=apital.asahi 朝日新聞デジタル(アピタル) 2015.07.30 UPDATE

(2015年7月26日 朝日新聞デジタル(アピタル)) 近藤誠医師は“本物のがん”という言葉を使われます。 小さいうちからあちこちに転移して命を奪うがんのことです。 そもそも、がんとはそのような病気を指していたのでしょうが、 なかには、死ににくい、死ぬまで相当時間がかかるがんも混じっている。 だから、あえて“本物のがん”と表現したのでしょうが、たしかに タチが悪く進行が早い、どうしようもないがん、は存在します。 私は、“本物のがん”とは言わず、“タチが悪いがん”と呼びますが、 がんのなかには本当に手をつけられないくらい悪いがんがあります。 わざわざ、“本物のがん”というからには、偽物のがんもあるのでしょう。 偽物とは、なかなか死なない、あるいはまず死なないがんのことでしょう。それを“がんもどき”と呼ぶのかどうかは知りませんが、がんを 二つのタイプに分けて考えると、一般の人には分かりやすいでしょう。 しかし問題は、世の中のがんは、“がんもどき”と“本物のがん”の 2種類しか無い、と主張する医師がいるから、とてもおかしな話になるのです。

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近藤尚己

東京大学 大学院医学系研究科 健康教育・社会学分野 保健社会行動学分野 准教授 医師 社会疫学者

がん患者さんにかかわらず、現代の医療に不信感を抱く多くの方の心をわしづかみにして「がんと闘うな」理論を展開する近藤誠氏の意見に真っ向から立ち向かうこの先生の記事シリーズ、一見の価値ありです。

私たちの体の中の細胞は日々生まれ変わっています。新しい細胞が一つできたら、古い細胞が一つ死ぬ。このルールがおかしくなって(悪性となって)、無限に増殖する細胞が誕生することがあります。これが「がん細胞」です。挙句の果てに別の臓器など、体中にとんでいって、まともな細胞も浸食し、命を奪います。

ややこしいのは、通常がんは放っておけば数年で体中に転移して命を奪うのがほとんどなのですが、中には微妙なのがいて、まともだった細胞が悪性化する中間の「ちょいワル」の状態で
がんかどうか見分けがつきにくいような細胞や、定義としてはがんだけど、増殖するスピードがとても遅くて10年以上のスパンでゆっくり様子見ができるがんなどがあることです。

そういう「比較的おとなしいがんや、がんの一歩手前のような細胞にたいしては、注意深く観察しながら付き合っていくことになります。しかし、がんの扱いについて、明確に「ちがう」といえるのは、「がんは放置してよい」という考え。多くのがんは放置すれば命取りになります。治療が必要です。

がん、という診断を受けるのは誰にとっても大変なことです。診断された後に、治療方針等々についてひとりで考え抜くのは大変です。信頼できる医療者と、信頼できる家族など一緒に相談しながら、ともに歩むように治療を進めていくのが理想です。

医者の説明に納得できなければ、「セカンドオピニオン」などをやっている医療機関に相談することも一案です。しかし、今の主流の医学を全否定するような特殊な療法(あるいは治療しない、という選択肢)をお勧めする医師や施術者に真っ先にすがり付くのは得策ではないと思います。

がん患者さんがどうやって病気と向き合い、それをどう医療者が支援してくべきか、については、僕なんかよりすばらしい意見をお持ちの医師や医療者がたくさんいます。医療者の間でもいろいろな意見があるのも事実です。医療者と市民と、もっと話し合いが必要だと思います。

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この記事へのコメント

  • はっきりしない肺の影も
    おとなしいガンなんでしょうね
    その人も、医師とたくさんお話して、
    数年後に手術しました
    長く生きれば
    ガンになると実感したのは、その時でした

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