【健百】熱烈なキスでアレルギー反応改善!? イグ・ノーベル賞
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あなたの健康百科 2015.09.19 UPDATE
(2015年09月18日 あなたの健康百科より) 人々を笑わせ、考えさせる」研究に贈られるイグ・ノーベル賞の受賞者が発表された。例年受賞者に名を連ねる日本人は今回、医学賞を勝ち取った。受賞テーマは「親密な人との熱烈なキスによる皮膚のアレルギー反応の改善」。スロバキアや米国などの研究グループとの共同での受賞だ。
今年のイグ・ノーベル賞医学賞を日本人のドクターが受賞しました。アレルギー患者さんにキスを30分してもらうと症状が減る、という結果です。
発想がユニークで素晴らしいですね。なかなか”やりにくい”研究をマジメに、科学的に行っていく姿勢、見習いたいです。
さて、気になるのはどんな実験をしたか、という点です。原著を読んでみたいところですが、NHKの報道などを読んでみると(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150918/k10010240241000.html)
「木俣さんはアレルギー性の鼻炎や皮膚炎の患者60人に、恋人や配偶者と30分間キスをしてもらい、その前後で、スギ花粉やダニに対するアレルギー反応の変化を、皮膚の腫れに注目して調べました。その結果、キスをしたあとには、腫れが小さくなり、アレルギー反応が抑制されることを明らかにした」ということです。
NHkの報道が正しいとすると、この研究デザイン、比較対象がないのが気になります。時間が経って症状が減っただけ、という可能性を否定できません。比較対象として「キスをしない群」も観察する場合も、それを評価する人が「誰がどちらの群か」を知っている場合、先入観が働いて評価をゆがめてしまう場合があります。そんなことに注意しつつ、追試をしていってもらいたいなと思います。
さて、キスや性交渉がアレルギー症状が緩和するとしたら、そのメカニズムは??
根拠に乏しい話で恐縮ですが、にわかに頭に浮かんだのが「オキシトシン」です。
オキシトシンという親密な接触をすると分泌されるホルモンの作用が最近注目されています。オキシトシンは、子育て中の女性の母乳の分泌を促巣他に、オキシトシンが出ると、人と共感する意識が強くなったり幸福度が増すと言う報告が散見されています。ただ反対意見も多く、結論は得られていません。でももしそういう作用が、ストレスの緩和やもっと複雑なホルモン同士の相互作用で、かゆみなどの症状を和らげる、といったことがもしかしたらあるのかも?なんて想像してしまいます。
オキシトシンをふくめ、体内のホルモンの作用のネットワークはとても複雑で、今も日進月歩の分野です。今後の研究の発展に期待します!
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松尾恵太郎
愛知県がんセンター研究所 遺伝子医療研究部 部長 医師 博士(医学) 疫学修士 日本疫学会 理事
ユニークな介入内容でもきちんと評価できるような研究デザインで評価するとちゃんとしたものになる訳で、あと一息頑張ってもらいたかったですね〜 笑。
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