あなたの親は大丈夫?「一人暮らしの高齢者事情」
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nikkanCare.ism(ニッカンケアイズム) 2015.10.26 UPDATE
(2015年10月22日 nikkanCare.ism(ニッカンケアイズム)より) 生涯未婚率が年々右肩上がりに上昇している昨今、「自分や周囲の友人が一人で老後を過ごすこと」をリアルに想像できる、という人も多いのではないでしょうか。 また、「自分は地元から遠く離れて過ごしているが、親は一人で大丈夫なのだろうか」と考える人もいるでしょう。 今回は、“一人暮らしの高齢者”をテーマに、内閣府の「平成24年版高齢社会白書」を見ていきましょう。
孤独死、老老介護、といった言葉もあるように、これらの高齢者の独居や二人暮らしには、厳しい要素が多く感じられますが、この記事後半には、「暗いニュースだけではない!生活に不安を感じている人は30%にとどまっている」ということでした。
明るい前向きなニュースはとても大切ですが、私はこの、「経済的に不安を感じている人少ないこと」が、ちょっと意外だな、、と。早速、このデータをちょっと調べてみました。
このデータは厚労省から出ている「高齢者白書」の最新版。この白書は、様々な信頼性のあるデータを「高齢者」の切り口で集めたものです。
今回の「60歳以上の高齢者の暮らし向きについてみると、『心配ない』(「まったく心配ない」と「それほど心配ない」の計)と感じている人の割合は全体で71.0%であり、年齢階級別にみると、「80歳以上」は8割と高い割合となっている」というデータ自体は、平成23年度の高齢者の経済生活に関する意識調査結果をもとにしていることがわかります。
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2013/gaiyou/s1_2_2.html
では、この「高齢者の経済生活に関する意識調査」がどのように行われたものなのか、たどってみたいと思います。
ポイントは、調査対象と調査方法です。
たとえば、対象が高齢者といっても、東京の渋谷駅周辺でインタビューしたのか、それとも、全国の病院の待合室でインタビューしたのか、、それとも、全国にインターネット調査をしたのか、それによってずいぶん回答の傾向が変わると思いませんか?
渋谷駅周辺でインタビューした場合、お答えしてもらえるのは、自分で渋谷駅に買い物や友達にあったりする財力と活動性とモチベーションがあるような人に偏る可能性があります。一方、病院の待合室でインタビューした場合、不安を持つ人の割合が多くなるような気がしませんか? また、インターネット調査なら全国の方に答えてもらえることができ、良さそうな感じがしますが、パソコンを持っていて、しかもそれを使いこなせるスキルのある人しか回答することができません。
こういった偏り、つまりバイアスがどちらの方向に働いているかを感じながら調査データは観る必要があります。
今回の「高齢者の経済生活に関する意識調査」は、調査員による面接聴取法で、4000人を無作為に抽出し、お宅を訪問して対面で調査をしているようでした。
http://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h23/sougou/zentai/pdf/1.pdf
つまり、ご自宅にお邪魔して玄関先まで出てこられて、調査員と話をし、それを理解した上で回答をする時間を持てた人2466人(有効回答率61.7%) の結果ということです。
アンケートデータは、報道された数値だけを鵜呑みにせず、その背景をしっかり考えながら、その数字をどう理解するのかということはとても重要だとおもいます。
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堤 円香
筑波大学 医学医療系 地域医療教育学 助教 MPH 社会福祉士 キャリアカウンセラー(CDA) 修士(公衆衛生学)
もちろん、バイアスを全て取り除くことはできませんが、「どういう人が答えたアンケートなのかな?」という気持ちでデータを眺めてみるということはとても大切だと思っています。
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