カルシウムを必要以上に摂っても骨折は予防できない
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日経Gooday(グッデイ) 2015.11.21 UPDATE
(2015年11月20日 日経Gooday(グッデイ)より) 骨折予防にカルシウムを積極的に摂りましょう―。よく聞かれるフレーズですが、実際にはそう単純なものではないようです。 今年9月末に、「50歳を超えた人が、骨折予防を目的として、食事やサプリメントを通じてカルシウムを積極的に摂取しても、利益はない」ということを示した論文が相次いで掲載されました。それらは、これまでに行われた、主に欧米人を対象とする多数の研究のデータをまとめて分析したもので、結果の信頼性は高いと考えられます。では、一生懸命カルシウムを摂っても無駄なのでしょうか?
「カルシウムを摂取することで骨折を予防できるか?」という問いに対して、システマティックレビューという手法を用いて、系統的に研究論文をまとめて分析した質の高い研究報告が、British Medical Journalに2報掲載されました。いずれも、「カルシウムの摂取は骨折を予防しない」という否定的な結果でした。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26420387
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26420598
この解説記事でも触れられていますが、欧米人のカルシウム摂取量は日本人の1.5倍から2倍に相当します。これには、欧米、日本、それぞれの食文化が強く影響していると考えられます。もともとのカルシウム摂取量に大きな違いがありますから、例えばカルシウムサプリメントの有効性を欧米人対象に検討した結果が否定的であったとしても、日本人対象にその結果が当てはまるとは限りません。
この記事だけで、「カルシウムはとっても意味がない」と極論するのではなく、日々の生活の中で積極的にカルシウムを摂取する姿勢は崩さないほうが良いでしょう。ただし、カルシウムだけでは骨折は予防できないかもしれませんので、骨に良いとされる運動の習慣化も、是非、加えてくださいね。
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