柿崎真沙子

名古屋市立大学大学院医学研究科医療人育成学分野 講師 博士（障害科学）

この記事（http://withnews.jp/article/f0150924003qq000000000000000W02j0201qq000012547A）の結果となるニュースですね。　「生活習慣病の原因となるメタボリックシンドロームにつながる、体重や体脂肪率、血圧、中性脂肪、コレステロール類、血糖値などの有意な変動を引き起こしませんでした」とのことですが、記事中に研究方法は「20～65歳未満の男女24人に、毎日必ず吉野家の「冷凍牛丼の具」を食べてもらい、日誌に食事内容や飲酒量を記入、実験前後で体重や血圧、BMI値や体脂肪率を測定とのことです。

　つまり３食吉野家の牛丼を食べたわけではなく、１日１食だけ必ず吉野家の牛丼の具を食べてもらうようにしたとのことです。運動の促進や食事制限はないとのことですが、逆に無意識に野菜の摂取や運動時間を長くしてしまう可能性もありますよね。摂取開始前の食事や運動の記録などもないと「影響がなかった」とは言えないと思いますが・・・。

　どうせお金をかけて調査をするならば、２群に無作為に分けて３食全て配食またはどこかで同じものを食べてもらえるようにし、介入群のみ牛丼をどこかに入れる、といったような太っ腹なことをやってもらいたいですね。ちなみに、商品として現在は存在しませんが、某社の高濃度茶カテキン配合の烏龍茶は、社員に参加してもらい、平日参加者は全員同じメニューを食べ、烏龍茶のみ違うものを摂取するという方法で試験をして結果を出した過去があります（http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15640470）。これくらいやっていただけると信頼性が上がるのですが、残念ながらこの商品はかなり早期に廃盤となりました。