「エビデンス弱い」と厚労省を一蹴したWHOの子宮頸がんワクチン安全声明 WEDGE Infinity(ウェッジ)
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WEDGE Infinity 2015.12.24 UPDATE
(2015年12月21日 WEDGE Infinityより)声明が暗に「エビデンス薄弱」と一蹴した日本の「HANS(=ハンス、子宮頸がんワクチン関連神経免疫異常症候群)」なる疾患も、CRPSやPOTSと同様、疾患概念としての妥当性に乏しい。HANSは(2015年12月21日 WEDGE Infinityより)2014年から一部の日本人医師が唱えている疾患概念で、子宮頸がんワクチンが、慢性の痛みや疲労感、けいれんや運動障害、月経異常や自律神経障害、髄液異常などありとあらゆる症状を引き起こすというものだ。
この記事は子宮頸がんワクチン問題に関する一連の記事の1つですが、記者の村中璃子さんの他の記事も鋭く的確にこの問題を報じていますので、是非読んでみてください。
子宮頸がんワクチンというのは、正確には子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチンで、これを予防接種することで子宮頸がんを予防することが世界中で行われています。
ただ日本ではワクチンを打った後に全身の痛みなどの症状を訴える人があったことから、国はワクチンの積極的な推奨をやめました。こうした状態についてWHO(世界保健機関)が声明の中でわざわざ日本を名指しにして
「専門家の副反応検討委員会は子宮頸がんワクチンと副反応の因果関係は無いとの結論を出したにもかかわらず、国は接種を再開できないでいる。以前からGASVSが指摘しているとおり、薄弱なエビデンスに基づく政治判断は安全で効果あるワクチンの接種を妨げ、真の被害をもたらす可能性がある」
としています。
記事の後半にマスコミの取り上げ方についても問題提起しています。確かに報道の仕方にも問題があるでしょうが、マスコミに特別な悪意があるとは思えません。なぜこのような事が起きるのでしょうか。
ワクチンを打つことで辛い症状が出た人が目の前にいれば、人間の心があれば助けてあげたくなります。マスコミの人たちのこうした正義感によって問題が報道されたのでしょう。この場合、最も頭を使わずに出来る方法がワクチンを止めさせることです。ワクチン接種を止めれば、ワクチンの被害に苦しむ人はいなくなり、みんなの正義感は満たされます。
一方で、ワクチンを打っていたら子宮頸がんにならなかったのに、ワクチンが止められたせいで子宮頸がんになった人が代わりに増えてきます。そういう人が何人ぐらいいるかは計算で求めることは出来ます。しかし、子宮頸がんになった人のうち、ワクチンを打っていたら助かっていたのは具体的に誰かというのはわかりません。数字だけで具体的な被害者が目の前にいない場合に心を痛める人間は少ないため、ワクチンを打たずに被害を受ける人(=真の被害者)の問題を実感するのは難しく、放置されがちです。
以上から最も大切なのは、ワクチン接種をして子宮頸がんを減らしつつ、ワクチン後に症状が出た人をちゃんと救済する仕組みを考え出すことではないでしょうか。
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