柿崎真沙子

名古屋市立大学大学院医学研究科医療人育成学分野 講師 博士（障害科学）

　以前佐々木先生も同様の記事にコメントされていますが（http://healthnudge.jp/2299）、個人的には乳糖不耐性の方、コレステロールに気を使わなければならない方以外は、牛乳の悪影響は気にしなくてよいと考えています。

　骨粗鬆症について、少し古いのですが日本人の研究で骨粗鬆症の結果起こるであろう骨折リスクは、牛乳の低摂取者で上昇するという研究があります（http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9199997）。

　乳がん罹患との関連については、いくつも前向きコホート研究が出ていますが、関連ありというものと関連なしというものが混在し、メタアナリシスの結果では、牛乳摂取と乳がん罹患リスクの増加は関連ないが、乳製品摂取と乳がん罹患リスク増加は関連があったという結果になっています（http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21442197）。

　脳血管疾患についてはちょっと古い論文ですが、関連なしと言われています（http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15116074）。

　虫歯との関連については文献がうまく見つけられませんでした。むしろフッ素添加している牛乳の場合は虫歯の予防になるという論文はたくさん出てきましたが・・・。歯科の先生方コメントをお願いしたいです。

　自閉症の発症については、自閉症は先天性の疾患ですので、発症と本人の牛乳摂取に関連はありません。

　また、牛乳についてのこういった記事で、よくホルモンなどがやり玉にあがりますが、そもそも日本で流通している牛乳は、省令で品質が管理されており、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令でホルモン等が乳に残留する牛からの乳の搾取を禁じています。牛乳が嫌いなら飲まなくてよいと思いますが、根拠のない情報をばらまかないでほしいですね。