学術論文:「再現性」の記述「ほぼすべてに欠陥」
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毎日新聞 2016.01.12 UPDATE
(2016年1月12日 毎日新聞より) 世界で発表された過去15年間の生物医学系の学術論文を抽出して調べたところ、同じ方法で実験すれば同じ結果が得られる「再現性」を確認するための手法が十分に書かれていないなど、ほぼすべてに欠陥があったとする分析結果を、米スタンフォード大などの研究チームがオンライン科学誌プロス・バイオロジーに発表した。資金の提供元などに関する情報がない論文も多く、論文のデータ改ざんや捏造(ねつぞう)の背景になっているとの指摘もある。
「再現性」(同じ方法で実験すれば同じ結果が得られること)は科学の重要な要素の一つですが、学術論文にはそのための記載はほぼ全てで不十分なのだそうです。
化学や物理学のように物質や現象を扱う分野と違い、健康や医療を対象にした研究では人や動物を対象にするので、実際に完全に同じ方法を再現できるかは何とも言えない側面はあります。しかしやはり、再現性が担保されるように丁寧に書かれることは“いい論文”の条件だと思います。
また、「利益相反」の記載の不備も指摘されています。「利益相反」は研究の内容に関して科学者が他の団体(企業など)と利害関係があることを指します。例えば、「ある食品Aが血圧を下げる」という論文を書いた科学者がAの食品メーカーの株を持っていることなどです。
「利益相反」があることが問題なのではなく、そのような状況にあることを隠さずきちんと公表することが近年の研究不正などを背景に科学者に求められています。
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