「肥満でも健康ならOK」はウソ? スウェーデン研究

健康・予防

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favicons?domain=www.yomidr.yomiuri.co yomiDr(読売新聞) 2016.01.19 UPDATE

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(2016年1月16日 yomiDr(読売新聞)より) スウェーデン・ウメオ大学医学部のガブリエル・ヘーグストレーム氏らは、130万人を超える同国の男性を調べた結果、青年期に測定した有酸素運動能力が高い人ほど、若くして死亡する危険性が低かったと、昨年12月20日発行の国際疫学会(IEA)の専門誌「International Journal of Epidemiology」(電子版)に報告した。ただし、肥満度が高くなるほど危険性の低下度が小さくなり、BMI(肥満指数)が35以上の肥満(日本の基準で「肥満3度」以上)の人では危険性の低下が認められなかったという。最近は「肥満でも健康なら良い」という考え方が医学会に起こっているが、今回の研究結果は、そうしたものに疑問を投げかける形となった。

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日吉 綾子

スウェーデン・オレブロ大学 医学部 准教授

SwedenはHealth Nudgeでも触れましたが、徴兵制度の時に測定したデータと、その後の病院・処方薬・仕事・収入・学歴等の情報がつなげられます(もちろん、個人情報が特定できない形で研究者に渡されます)。病気や死亡のリスクがどのような要因と関連しているのか研究するには、データ収集を始めてから実際に人々が病気になったり亡くなったりするまでの時間を待たなくてはなりません。また、多くの人の体重、血液、運動能力、心理・認知的能力を測定するには人もお金も必要です。冷戦下、戦闘になった時に身体的・心理的に耐えられるか、人のリーダーになれるかを見極めるために行われた検査ですが、疫学者としてはとても貴重なデータです。このデータを使った研究による、こういった健康情報への貢献は計り知れないと思います。SwedenやEUでも個人情報の安全性との議論はいつもありますが、研究目的の利用の道を守っていきたいと多くの学者が考えています。

1970年代、80年代を含むデータですので、現在のデータと比べると、測定方法やデータの情報が散逸してしまっている感がぬぐえないのですが、著者らはそのこともあってか、BMIと運動能力をさまざまにグループ分けして、同じような結果が得られるかどうか確認を繰り返したように見えます。

論文では、肥満であると運動能力が高いことによる死亡リスク低下率が低くなるということと、肥満である限り運動能力の如何にかかわらず普通体重の人より死亡リスクが高くなる傾向が示されています。

ただ、1970年代(のデータを私は使っておりますが)にBMIが30や35以上という青年はかなり稀です。論文でも、BMI 35以上は全体のわずか0.3%で、運動能力による死亡リスク低下がはっきりと認められなかったのはこのグループですが、かなり特殊なグループだったのではないかと思ったりします。

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