謝礼もリスクも高い!? 「Yahoo!」が〝治験者募集〟〜JAXAは13泊14日で38万円!!
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HEALTH PRESS 2016.01.23 UPDATE
(2016年1月22日 HEALTH PRESSより) 大手IT企業のヤフーが運営する自社検索サイト「Yahoo!」で治験協力者を募る取り組みを1月12日から始めた(リンク先を参照)。医療関連企業と提携した新たな試みで、日進月歩な薬の種類の多様化に伴い、より有効性・安全性が問われ、広範な治験協力者が必要とされている事情が背景にある。
JAXAの試験協力者募集の記事は、13泊14日という拘束時間の長さと、38万円という謝礼の高さから話題になりました。わたしも研究参加者を一般の住民の方々に呼びかけて、研究をおこなっていますので、研究参加者募集については、いろいろと考えさせられることがあります。
先にわたしの個人的な考えを述べさせていただくと、試験参加協力者に対して、過剰な謝礼は払うべきではないと考えています。実際、わたしがおこなっている多くの試験では、謝礼を用意せず、交通費等は自己負担で、試験に参加してもらっています。わたしの研究は、食事指導や運動指導をおこなって、その効果を検証するものですので、「専門的な指導が無料で受けられる」、「さまざまな測定・検査を無料で受けられる」と思っていただければ、謝礼がなくとも研究に参加していただけるのかもしれません。
一方で、一般的に治験と呼ばれる試験は、製薬会社がおこなう薬の効果を検証する試験を指し、薬としての承認を得るために、さまざまな条件をクリアしなければなりません。薬の有効性を示すため、偽薬(プラセボ)と呼ばれる効果のない薬を服用する群を設定しなければならないことも多いですし、記事にもあるように、薬の副作用が大きく現れる可能性もあります。目に見える効果が少なかったり、危険性が高いと思われたりする試験では、ある程度の謝礼は必要となるのかもしれません。
しかしながら、あまりにもそうした考え方が広がってしまうと、「謝礼がなければ試験には協力しない」という意見が強くなります。謝礼目当てで研究参加者になる人も多くなることでしょう。そうした考えを否定するつもりはありませんが、本来のボランティア精神による研究参加とは離れてきてしまいます。理想論なのかもしれませんが、研究に協力いただける方には、将来の医学の発展に寄与したい、というボランティア精神に基づいて、研究に参加するかどうかを判断していただきたいと考えています。
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