高血圧と人類、その長い戦いに訪れた「転機」
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東洋経済オンライン 2016.02.15 UPDATE
(2016年02月03日 東洋経済オンラインより) 今から70と1年前の1945年2月、クリミア半島のヤルタで、連合国の3首脳が戦後処理を話し合った。同席したルーズベルト、スターリン、チャーチルは、実は同じ末路を辿っている――。ルーズベルトは会談から2カ月、スターリンは8年、そしてチャーチルは20年の後に亡くなったが、3人の死因はいずれも「脳卒中」である。 中でも、享年63歳のルーズベルトが脳出血で倒れた時の血圧は300/190mmHg(同年代の正常値はおおむね141/83mmHg)あったと、後に発表された。 “サイレントキラー”の異名を取る高血圧だが、重症になれば、頭痛やめまいなどの症状も出てくる。長らく狭心症と高血圧に悩まされていたルーズベルトが、ヤルタ会談で結論を急いだことは、戦後の冷戦構
今では考えられないことですが、1945年前後は、高血圧には重篤な危険はなく、むしろ高齢者では正常な状態とさえ思われていました。そもそも血圧が測定できるようになったのは20世紀初めくらいのことですしね。
循環器疾患との闘いの歴史は、薬によるものももちろん大きいのですが、疫学的にも重要な発見や研究の連続であり、疫学の果たした役割もまた、非常に大きいものとなっています。本記事と合わせて最後に紹介している書籍などお手に取っていただけると幸いです。
アメリカではルーズベルト大統領が亡くなり、全死亡に対する循環器疾患の死亡割合の増加から、今では世界的に有名となった「フラミンガム研究」が1948年にスタートしました。この研究により、喫煙、年齢、高コレステロール、高血圧などが循環器疾患の危険因子が同定されてきました。
また、1948年開始のオリジナルコホート以降、1971年にはその配偶者とこどもを対象としたオフスプリングコホート、2005年にはさらにその子である第三世代のコホートが開始されています。
このフラミンガム研究については、「世界の心臓を救った町(ライフサイエンス出版)」という日本語書籍や、「A Change of Heart: Unraveling the Mysteries of Cardiovascular Disease」という洋書が面白く、時代背景や科学の進歩とともにどのように循環器疾患リスクを同定してきたか、とても興味深く述べられています。お時間のある方は是非手に取っていただきたいですね。
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