STAP細胞の特許出願、米ハーバード大学が世界各国で…今後20年間、権利独占も

病気・医療

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favicons?domain=biz-journal Business Journal 2016.05.25 UPDATE

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 米ハーバード大学附属ブリガムアンドウィメンズホスピタルが、STAP細胞の作成方法に関する特許出願を、日本、米国、EPO(欧州特許庁)、カナダ、オーストラリアなど世界各地で行っており、更新料、維持料が支払われている。これについて5月9日、弁理士でITコンサルタントの栗原潔氏は、同大学が日本国内でも特許出願に関して実体審査請求をしていることを明らかにした。出願審査請求は4月22日に提出されている。

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柿崎真沙子

名古屋市立大学大学院医学研究科医療人育成学分野 講師 博士(障害科学)

「特許」という単語が出てきて勘違いしないことは、特許を「出願」し、「審査請求」をしないと「特許審査」が始まらず、審査が終わっても請求した項目(請求項)が必ずしも全て特許として認められるというわけではないということです。特許は一般的な科学ジャーナルとは異なり、審査請求から審査結果が出るまでかなり時間がかかり、この記事によると「2016年4月22日」出願審査請求ということですから、まだ審査が始まったばかりで特許として現時点では全く成立していません。ですので、現時点で「今後20年間、権利独占」と言い切ることはできません。

 また確かに記事にあるように、特許はすでにどこかで発表されている場合、新規性が失われ、特許として成立しなくなることがあります。そのため出願を優先するため研究発表を行わないこともあります。しかし、特定の条件の下で発明を公開した後に特許出願した場合には、先の公開によってその発明の新規性が喪失しないものとして取り扱う規定、すなわち発明の新規性喪失の例外規定(特許法第30条)が設けられています(https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/hatumei_reigai.htm)。国によってその条件は異なりますが、一定条件下であれば、学会発表などがすでにされていてもその後の特許出願をすることが可能になります。ですので、特許として本当に成立させたい場合、こういった各国の事情を勘案し特許出願を行うため、特許のために博論が書けないということはあり得ませんし、指導教員が特許の出願に引っかからないようにうまくデータ等を選ぶよう指示するか、特許の出願日をうまく調整するのが常識です。

 とりあえず、科学的な手法で概念があることを証明していただければ、誰も何も文句は言わないと思います。

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