氷バケツ運動で「難病研究に大成果」は誤報 科学報道の課題浮き彫りに
- 2,169
- 3
- 0
Forbes JAPAN 2016.08.29 UPDATE
「アイス・バケツ・チャレンジ」がソーシャルメディアで大流行してから2年。この運動は、難病である筋萎縮性側索硬化症(ALS)の新治療法発見に向けた研究に1億ドル(約100億円)以上の寄付をもたらした。 メディア各社は先月、この寄付金が「ブレークスルー(突破口)」となる発見につながったと報じた。この情報の基になったのは、ALS治療の道を開く可能性があるNEK1という「新しい」遺伝子が見つかったという米国ALS協会のメディア向け声明だった。 だが、これは本当に画期的な発見だったのだろうか?
以前言及した「バケツの氷水ざっぱん運動、ALS治療の前進に貢献 主要遺伝子発見と」(http://healthnudge.jp/11550)の記事に対し、その研究が画期的発見だったかと問う内容の記事です。私が取り上げたBBCの記事は今読み返してみてもそれほどセンセーショナルに報道しているわけではないなあと読めるのですが、どうも他では過剰に報道されていたようです。米国ALS協会のプレスリリースも探してみました(http://www.alsa.org/fight-als/edau/testimonial-landers.html)。元になるNature Geneticsの論文は多分これです→http://www.nature.com/ng/journal/vaop/ncurrent/full/ng.3626.html
うーむ、専門じゃないから論文は読んでも「おお、なんかすでに見つかってた遺伝子がALSと関連しているみたいなのね、ほうほう」くらいしか読み取れません。米国ALS協会のプレスリリースもこのフォーブスの記事で書いてある通りで、そこまで大々的に書いているわけではいですね・・・。
確かに以前紹介したBBCの記事は抑え目で、私自身は「ちゃんと自分が起こした行動結果起きたことにも注意を向けよう!」と取り上げましたが、紹介した当時、ALS協会のプレスリリースやNature Geneticsの原典には当たっていませんでした。
この記事の最後には「研究結果がプレスリリースにまとめられて発表された際には、常に基になった資料(今回の場合は科学誌ネイチャー・ジェネティクスの記事)を参照し、発見の具体的内容を確認することが大切だ。アイス・バケツ・チャレンジがもたらした「突破口」をめぐる報道は、研究結果が拡大解釈して伝えられ炎上した事例の一つとなった。」と書かれていますが、本当にその通りです。記事の紹介の際、原典に当たらなかったことを反省しています。今後はこのような紹介にならないよう気を付けたいと思います。
送信完了
いいね!しているユーザー一覧
コメント編集
この著者による他の記事
アクセスランキング
この記事へのコメント