「裏メニュー」豚の生レバー提供で逮捕 その背景

食事

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favicons?domain=www.asahi 朝日新聞 2016.06.26 UPDATE

神奈川県横須賀市の居酒屋で生で食べてはいけない豚のレバーを出したとして、経営者の男(36)が神奈川県警に食品衛生法違反の疑いで逮捕された。水曜限定の「裏メニュー」だったという禁断の一品。異例の逮捕に至った背景とは?

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酒匂 赤人

国立国際医療研究センター国府台病院総合内科医師 公衆衛生学修士

基本的に生の肉を食べることには、腸炎や肝炎などの感染症の危険はあり、豚でも牛でも鶏でも、確率や種類の違いはあっても、絶対安全とはいえません。日本では寿司や刺し身を食べますが、生魚にもアニサキスのような病気もあり、生ガキなどでノロウイルスに感染することもあります。

厚労省も「お肉はよく焼いて食べよう」と、注意喚起をしています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049964.html

生肉を食べることに関しては、自分はあたったことはない、自分の店で食中毒を出したことはない、新鮮だから大丈夫、自己責任だから問題ない、といったことがよく言われます。

毎日タバコを2箱吸っていても全員が肺がんになるわけではないし、体重100㎏以上でも糖尿病にならない人もいますが、だからといって喫煙や肥満が健康に問題がないとはいえません。自分が食べて大丈夫なものをお客さんに出すのは大事なことですが、気を付けてやっていて今まで食中毒がないから大丈夫というのは過信ですよね。もちろん細心の注意を払って食材を扱うことで予防できる部分も多いので重要ですが。

医者の立場からみても、ただ腹痛や下痢や発熱の人が来たからといって食中毒を疑って診断できるわけではなく、複数の人に症状が出ていたり、かなり疑わしい食べ物があったり、症状がひどかったりといったことがないと、食中毒を疑ったり保健所に届けたりすることが難しいことがあるので、食中毒として明らかになっているのは氷山の一角だと思います。

食中毒には肉が古くなって悪くなったせいであたってしまうものもありますが、動物が生きているときから体内に潜んでいる病原菌もいるので、新鮮だから大丈夫なわけではありません。新鮮かどうかよりは、ちゃんと加熱してあるかとか、肉を切ったまな板でサラダの野菜を切らないとか、肉を焼くときの箸と食べる箸をわけるとか、のほうが大事かもしれません。

自己責任についても、アニサキスのように自分がかかるだけで他の人にうつらない病気もあれば、O157のように家族や同僚や同級生などにうつる病気もあるので、完全に自分だけの問題とはいえないですね。

特に食中毒の発生は確認されていないようですが、保健所による介入ではなく、警察による逮捕が必要だったのかは議論のあるところなのかもしれません。嗜好や食文化と、病気の予防や規制のバランスは難しいですよね。僕自身、ユッケも鳥刺しも生ガキも好きなので、悩ましいですね。牛レバーも好きだったのですが、さすがに規制されているのに食べるのは職業柄も絶対にまずいので食べませんが。

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