「シャブ山シャブ子」を信じてはいけない 「啓発運動」が差別を助長している
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プレジデントオンライン 2018.11.13 UPDATE
テレビドラマ『相棒』に登場した薬物依存症の女性キャラクター「シャブ山シャブ子」が話題を集めている。迫真の演技という評価も多いが、国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦医師は「啓発運動が繰り返してきた間違ったイメージを再現しており、本物の薬物依存症者とは異なる。差別を助長する恐れがある」と指摘する――。
このドラマを見ていないのですが、今回のシーンはかなり迫力があったようで、その名前のインパクトや女優さんの熱演っぷりが話題になり、特に問題しているような記事は最初はあまりなかったようです。ただ、数日たって、今回の記事のように問題視している記事が他にも出てきています。
「絶好調の『相棒』に暗雲?「シャブ山シャブ子」めぐり大論争」
https://jisin.jp/entertainment/entertainment-news/1683403/
今回の記事を書いている松本俊彦先生は、僕も文章をいくつか読んだり、学会で講演を聞いたことくらいでしかないのですが、非常にわかりやすく、また説得力のある文章や講演だったなと思い、今回の記事も勉強になりました。
ニュースやドキュメンタリーではなく、フィクション・エンターテイメントであるドラマにどこまでリアリティや正しい表現を求めるのは難しい問題だとは思います。いろいろな立場や考え方の人がいるから、すべての人を傷つけないことはできないのかもしれませんし、面白さやわかりやすさとのバランスも大事だとは思います。今回のシーンも「薬物に手を出さないで」というメッセージが込められていたのだと思います。でもたくさんの人に見てもらい影響力のあるメディアとしての責任は一定程度はあるとは思います。今回はドラマですが、事件報道についても松本先生の2年前の記事があったので参考にどうぞ。
「ミュージシャン逮捕 薬物依存症は犯罪なのか、病気なのか」
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161209-OYTET50058/
やってはいけないものを、すごく怖いものや危ないものとして誇張することで、予防しようというのは一つのアプローチだとは思います。タバコを吸いすぎたらどうなるか、食べすぎ・運動不足でどうなるか、糖尿病をちゃんと治療しなかったらどうなるか、とか、僕も患者さんに対してよく使ってしまう気がします。でも脅すだけではあまり効果はないとも言われています。また今回の記事にもあるように、怖い人や危ない人として誇張することで、当事者はつらい思いをするし、周りからの偏見にもさらされるし、結局は社会復帰や依存症からの回復を妨げてしまうことになりそうですよね。
普段ヘルスナッジでは、記事の出典・オリジナルにあたることの重要さや、研究を取り上げた記事ならもとになった論文を確認することの必要性を繰り返し強調しているにもかかわらず、元になったテレビも読んでいないし、薬物依存の専門家でもないのですが、そのあたりは大目にみてください。
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