医薬品の広告に「相対的表現」が多い理由:病気にまつわる数字の話
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日経Gooday(グッデイ) 2015.06.18 UPDATE
(2015年6月16日 日経Gooday(グッデイ)より) 「5年生存率」「検査陽性」「基準値」「平均余命」「リスク」…。皆さんは、ニュースで見かける健康・医療関連の数字の意味を、正しく理解していますか? カラダにまつわる「数字」について、誤解しがちなポイントを分かりやすく解説するとともに、数字の読み方、解釈の仕方についても、わかりやすく説明します。
相対的表現のパーセンテージの短所は、全体が見通せないことですよね。例えば、患者の20%が治療に成功したという記述は、5人中1人に対しても、5000人中1000人に対しても正しいことになります。ですので、「パーセンテージを使う時は、分子と分母を表示せよ」と、『わかりやすい医学統計の報告』(トム・ラング、中山書店)などの本でも言われています。
この記事の例で言うと、ただ「発症が34%減少した」と伝えるのではなく、「発症が34% (0.58 / 1.69) 減少した」と伝えるならば、発症がそもそも少ないのでそれほど大きな違いはない、ということまで伝わります。
ちなみに、ドイツでこんな調査があったそうです。1000人に「40%の意味は?」と質問しました。選択肢は「4分の1」「10のうち4」「40人ごとに1人」の3つ。なんと、30%の人が誤答したそうです。(『数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活』、ゲルト・ギーゲレンツァー、早川書房)
アメリカでは医療情報を小学6年生以下のレベルで書くこと(Weiss BD, 2007)とされ、日本では医療文書の可読レベルは中学3年生以下が提案されています(佐藤恵子、2002)。
この記事のように、「効果をアピールしたければ、相対的な表現の方が有効」ですが、医療情報を伝える側としては、正確に理解してもらえるように、分かりやすく伝えることに、もっともっと努力した方がよいのでしょうね。
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