尿一滴でも反応、「線虫」ががん検診の未来を変える!?

病気・医療

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favicons?domain=gooday.nikkei.co 日経Gooday(グッデイ) 2015.11.13 UPDATE

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(2015年11月10日 日経Gooday(グッデイ)より)  「わずか1mmにみたない線虫が、がん患者を見分ける」。九州大学大学院理学研究院、広津崇亮助教らの研究グループは、C.エレガンスと呼ばれる線虫を用いてがん患者を識別するという研究成果を、2015年3月、米国オンライン科学誌「プロスワン」に発表した。  線虫とは、糸状の体型をした線形動物門に属する生物で、地球上に1万種以上が存在している。よく知られている線虫に、サバに寄生し食中毒の原因となるアニサキスがいるが、土壌中に生息するC.エレガンスは、実験材料として使われるため研究者にとって極めてポピュラーな線虫である。

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尾瀬功

愛知県がんセンター研究所 疫学・予防部 主任研究員 医師 博士(医学)

尿一滴でいろいろながんの検診が一度にできるようになるかもしれないという記事です。記事の元になった研究について、九州大学から詳しい内容がプレスリリースとして出ています。
http://www.kyushu-u.ac.jp/pressrelease/2015/2015_03_12.pdf

この方法が実用化すればとても簡単に、早く、安くがんの検査が行えて便利になるかもしれません。ただし、これが実用化されるまではまだいくつかのハードルがあります。
1つは検査の精度です。元の論文によると7種類のがんの患者24名中23名の尿に反応したそうです。中でも早期発見による治癒が期待できる早期がんについては12例ということでした。そのため、もっとたくさん調べないと、どのがんでも偏りなく見つけられるかどうか、確実なことはわかりません。
次に検査としての認可の問題です。こうした検査に使う試薬などは体外診断薬として認可を受けてから使用されるようになります。試薬などの物質ではなく生物を使う検査なので、判定方法など、これまでと異なる審査が必要になる可能性もあります。
最後は検診の効果の問題です。がん検診はがんを見つけることが目的ではありません。がん検診の真の目的はがんによる死亡を防ぐことです。例えば、治療方法のない病気は、いくら早く発見したところで、治療ができないので寿命を延ばすことはできません。また、進行がゆっくりな病気であれば、早く見つけて治療しても、少し経ってから治療しても治る確率が変わらないこともあり得ます。つまり、この検査でがん検診を受けた人たちの死亡率が受けなかった人よりも低いことがわかってはじめて、この検査が有効だといえます。
こうしたハードルをすべてクリアするまで、まだ何年もかかると思いますが、是非実用化して、多くの人の命を救って欲しいものですね。

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