前立腺がんが日本で増えた理由
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読売新聞 2016.07.22 UPDATE
前立腺は骨盤のもっとも下、尿が 貯 まる 膀胱 を支える位置にあります。また直腸のおなか側にあります。 この前立腺にできるがん、前立腺がんは最近増加が著しいがんですが、昨年初めて、日本人男性が 罹患 するがんで最も多くなったことが、国立がん研究センターの調査で分かりました。既に欧米諸国では前立腺がんは男性に最も多いがんで、死亡者も肺がんに次いで2位となっています。また、日本と同じ増加傾向がアジアの国々でも見られています。
大新聞のホームページの、大学病院の専門の教授が書いたコラムだから信頼性は高そうですが、食事や栄養素の影響を強調しすぎていると感じたので、前立腺癌のことは詳しくない内科医がちょっとだけ調べてみました。
日本癌治療学会のサイトで前立腺がん診療ガイドラインをみると、
http://jsco-cpg.jp/guideline/26.html
「確実な証拠はないものの,動物性脂肪を摂取する機会の多い欧米国の食生活が前立腺癌の危険性に関与することが示されている。食品に関しては,豆類・穀物の摂取は前立腺癌罹患率と負の相関関係があり,砂糖,ミルク,油脂に正の相関が示唆されている。化学予防としてセレニウム,βカロチン,ビタミン A,E,D,C,イソフラボン,リコペンなどの成分が前立腺癌の発生を予防する物質として研究されている。」
国立がん研究センターのがん情報サービスをみると、
http://ganjoho.jp/public/cancer/prostate/
「食事・栄養素に関しても、現在前立腺がんとの関係が明らかになっているものはありませんが、リスク要因として、乳製品、カルシウム、肉、脂肪、予防要因として大豆、リコピン、セレン、ビタミンE、魚、コーヒー、野菜などが候補にあげられています。」
肉とか脂っこいものは控えたほうがよさそうですし、野菜を多くとったほうがよさそうですが、前立腺がんの予防のためというよりは、もっと広く健康のために良さそうなこととかわらないですよね。これを読んで冷ややっこを食べたいと思えば食べてもいいし、わさびなんて辛くてそんなに食べられないと思えば食べなくてもいいのかなと思います。僕自身はこの記事とがん情報サイトをみたうえで、予防する科学的根拠があって、前立腺がんをかなり減らしてくれそうな食品や栄養素はそんなになさそうだなと思うので、特に機能性食品を買おうとは思いません(ヘルスナッジなのに専門家の意見ではなくてすみません)。
ちなみに機能性食品は、科学的根拠があって体によいものと思われがちですが、実際は根拠や安全性があやふやなものもあることが問題になっているという読売新聞の記事もよければどうぞ。
http://www.yomiuri.co.jp/matome/20150616-OYT8T50118.html
また、前立腺癌が増えている理由の一つには血液検査(PSA)で手軽に前立腺がんが疑わしい人を見つけられるようになったことがあります。早期発見で治療して治せるようになったことは非常にいいことです。ただ、PSA検査が異常でも前立腺がんではない人もいます。その人にとってはPSA検査を受けたがために癌の心配をしたり、少し危険性もある精密検査を受けなくてはならないということになります。また前立腺がんは進行が遅くて寿命にあまり影響しないようなタイプもあるので、実は治療しなくてもいい癌が見つかってしまうということもあります。多くの人を検査して、早期発見して、治療すればいいとは、単純にはいえないので、欧米でも日本でも、前立腺がんの検診をどう行うべきかは、議論があるようです。
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