長寿のもと? 従来の悪玉「ケトン体」なぜ注目されている (日刊ゲンダイDIGITAL)
- 2,602
- 1
- 0
Yahoo!ニュース 2017.01.25 UPDATE
いま医療関係者の間で俄然注目されている「ケトン体」をご存じか? 人は飢餓や激しい運動により糖を分解できなくなると脂肪を分解してエネルギーをつくる。その際の副産物がケトン体で、これまで脱水や嘔吐、頻脈、低血糖、昏睡や意識障害などの原因として悪玉扱いされてきた。ところが最近は心臓や腎臓を保護し、神経を修復する善玉でもあるという考え方が広まってきているという。なぜか。東邦大学医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌学分野の熊代尚記講師に聞いた。
人間の体内では、「糖」を分解して体を動かしたり、頭を働かせるエネルギーを得ています。「糖」が枯渇した時には、次のエネルギー源となる「脂肪」が分解されます。「脂肪」が分解されることで出てくる「ケトン体」は、従来昏睡や意識障害などの原因となる物質として悪いものとして扱われてきましたが、どうやら生活習慣病の予防や長寿の効果も持つらしい、という研究内容の紹介の記事です。
2009年に出たアカゲザルの研究*1でも、長期にわたる低栄養のないカロリー制限があると、糖尿病、がん、心血管疾患の生活習慣病や脳の萎縮などの加齢に伴う変化を遅らせることができるということが示されています。
今回のケトン体に関する記事は、こうした観察研究の生物学的裏付けとなる研究結果かもしれません。
今回の記事で素晴らしいと感じたのは、最後の一言。HealthNudgeでも何度も取り上げられていますが、健康も長寿も様々な要因が絡んだ結果と言えるものです。「○○が体に良い」はそんなに単純なものではないし、きちんとメリットとデメリットを把握した上で情報を判断し、行動に移しましょう、という警鐘がこの手の記事で記載されていたことに好感を覚えました。健康に関わる記事を書く方々の、こうした読み手への配慮を感じる一言が増えていくといいなぁと感じた記事でした。
*1 Colman RJ, Anderson RM, Johnson SC, Kastman EK, Kosmatka KJ, Beasley TM et al. Caloric restriction delays disease onset and mortality in rhesus monkeys. Science. 2009;325(5937):201-4. doi:10.1126/science.1173635
送信完了
いいね!しているユーザー一覧
コメント編集
この著者による他の記事
アクセスランキング
この記事へのコメント