町医者だから言いたい! 《1886》 なぜ医療否定本がまだバカ売れするのか?

メンタル

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favicons?domain=apital.asahi 朝日新聞デジタル(アピタル) 2015.06.25 UPDATE

(2015年6月20日 朝日新聞デジタル(アピタル)より) 医療否定本がまだまだ売れ続けています。 「医者に殺される」「がんは放置せよ」から始まって、 「医学不要論」「医者は死に神」と、とどまるところを知りません。 いまや、医者が医者を叩く本を書けば、飛ぶように売れます。 患者は拍手喝さいでそれらの本を買い求めます。 出版不況ですから、どの出版社も同じ趣旨の本をこぞって出します。 いわばひとつの流行なのでしょう。

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奥原剛

大学病院医療情報ネットワーク研究センター 東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野 特任助教 MPH(公衆衛生専門職)

医療否定本の内容がどれだけ非科学的で極論であっても、メディアでとりあげられるとその内容を人々は重要と考え(議題設定効果)、その内容に繰り返し接すると好意が高まります(単純接触効果)。また、医療の科学的な話に比べ、医療否定本の内容はわかりやすいことが特徴で、わかりやすい話は好まれ、選ばれ、信用され、意思決定され、行動されやすい傾向があります(処理流暢性)。医療否定本が売れるのには、そういう心理効果もあるでしょう。

医療否定本をつくっている出版社の人達は、「売れればいい」と思っているだけの人、著者の主張を盲信している人、残りはただ仕事でやっている人でしょう。医療否定本を何冊が手掛けた編集者の口から「病院でがんが治るわけないんだから」という盲信的発言を聞いて、僕はドン引きしたことがあります。しかし、その編集者も、自分や自分の家族ががんになった時には、自分が本で発信してきたトンデモ代替医療ではなく、まずは病院の医療に頼るはずです。無責任だな。凡庸なことを言って恐縮ですが、メディアの情報の選択は読者の側が慎重に吟味するしかありません。

出版社は売れそうな本だけを出します。医療否定本の間違っている個所と正しい箇所を明確に示したという、この著者の新刊が売れて、同様のスタンスの本が増えますように。

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