イヌの散歩が健康に有用
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健康美容EXPOニュース 2016.05.25 UPDATE
イヌの散歩は、60歳以上の人の中等度~強度の運動の全体量を増やし、過体重と医師受診の必要性を低減させるために役立つことが、米マイアミ大学(オハイオ州オックスフォード)助教授のAngela Curl氏...
イヌの散歩をする人は肥満度が低く,日常生活動作の制限が少なく,受診頻度も少なく,身体活動の頻度が多いという論文を紹介した記事です.
記事の冒頭に「イヌの散歩は、60歳以上の人の中等度~高強度の運動の全体量を増やし、過体重と医師受診の必要性を低減させるために役立つ」とありますが,これは少し言い過ぎです.
この研究では,イヌの散歩と肥満度,受診頻度,身体活動などの情報を一度の調査で集めた横断研究と呼ばれる手法を用いています.この手法では肥満が先かイヌの散歩が先かは判断がつきません.従って,イヌの散歩が運動量を”増やし”たり,過体重や受診頻度を”低減させる”ことを示したわけではありません.
記事の最後に「本研究は因果関係を証明するものではない」旨が記載されていますが,冒頭では因果関係がありそうに書かれており,誤解を招きそうです.
記事中盤に「イヌを飼うことは60歳以上における全般的な健康と直接的には関連しないものの、体重・肥満の指標であるBMIが低く、身体活動の制限が少なく、医師の受診頻度が少なく、日常的な運動量が多くなることと関連していた。」とありますが,これも原典の情報と異なります.
原典では「イヌを飼うこと自体は身体的健康や健康行動と関連しない」,「イヌを飼っている人で,イヌと散歩する人は散歩しない人に比べて肥満度が低く,日常生活動作の制限が少なく,受診頻度も少なく,身体活動の頻度が多い」ことを報告しています.つまり「イヌを飼うこと」と「イヌと散歩すること」は別ですので,そこは分けて考える必要があります.
とはいえ,非常に興味深い研究テーマであり,イヌの散歩が体重やその他の健康指標を”改善する”か否か,人と人とのつながりを”強める”か否か,また生活の質や精神的健康を”高める”か否かを追跡調査を伴ったコホート研究で明らかになることを期待しております.
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