アミノ酸スコアとは?その①~アミノ酸スコアが高い食べ物と算出方法~

食事

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favicons?domain=mikakukyokai 味覚ステーション ~世界一面白く食品・栄養・味覚を学べるサイト~ 2020.04.01 UPDATE

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みなさん、「アミノ酸スコア」って聞いたことがありますか? 「スコア」と聞くと、プロ野球のスコアとか、ゴルフのスコア、TOEICのスコアを思い浮かべる方もいるかと思いますが、「アミノ酸」のスコアって何なのでしょうか? 実は、この「アミノ酸スコア」は、「食」「健康」を考える上で、とても重要なファクターなのです! 今日は、この「アミノ酸スコア」について(世界一分かりやすくなるように頑張って)ご説明します! 

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今村文昭

ケンブリッジ大学医学部 MRC疫学ユニット

たんぱく質にも食品によって組成が異なり、その良し悪しをみる指標のひとつが「アミノ酸スコア」です。今回の記事は、その「アミノ酸スコア」について説明している2018年のものです。筋力トレーニングなど身体に負荷をかける運動をしてたんぱく質の摂取を意識している方は聞いた事ある、あるいはご存知かと思います。

一点、述べたいと思います。この記事の内容は古いです。

アミノ酸スコアの計算の方法は長らく検討がなされFAO(国連食糧農業機関)での2011年の会議から改案が推奨されています(註1)。これに関する情報は2015年、および2020年の「日本人の食事摂取基準」にも次のように記されています。

「通常のアミノ酸評点パターンにたんぱく質の消化率を加味したたんぱく質消化率補正アミノ酸評点パターンが、より正確な評価法として用いられるようになってきた 」(日本人の食事摂取基準2020 年版のp118)

恐縮ながら、新しい方法が日本で普及してきたのかは判断できませんが、国連機関、および栄養学界が推奨しているのは確かです。栄養学領域でお仕事をしつつご存知でなかった方はもちろん、たんぱく質摂取に興味のある方は関心を寄せておくとよいでしょう(下記のコメント欄に、計算例を用意ができたら載せたいと考えています)。

ここで述べたいのは、こうした記事を書く栄養学のプロフェッショナルが新しい情報を知っている、述べているとは限らないという点です。

栄養学が専門でない方には判断しようがないかもしれません。しかし、このアミノ酸スコアの話に限らず、こうしたウェブ上の記事や一般書(註2)では古い情報が最適かのように紹介される恐れがあります。そんな可能性をやはり気に留めて頂けたらと思っています。

さて新旧のアミノ酸スコアについて、2点のみ違いを述べたいと思います。2点目については、今回のような記事を読む際、古い情報か新しい情報か、簡単な判断材料となりますので記憶に留めておくとよいでしょう。

1.現在の計算方法では必須アミノ酸が食品によってどれほど吸収されるのかを動物実験で数値化したものを計算に入れます。吸収される程度は理論上は0から1の値をとります。たとえばトリプトファンは、粉ミルクの場合0.90、グリーンピースの場合は0.66といった具合です。

2.100以上の数値をとります。今回の記事をご覧になってください。牛乳や豚肉など100の値であることがわかります。これは従来の計算方法によるもので、大雑把に述べると「全ての必須アミノ酸がそれぞれの必要量を満たしている(100%)」という意になります。しかしこれでは必須アミノ酸が必要以上に多い食品のたんぱく質の評価ができません(e.g. 筋力トレーニングに合わせて摂りたい場合などあまり参考にならない)。ですので既存の計算方法では100以上の数字も切り落とすこと無く、そのまま利用することが求められています。たとえば成人に対する乳タンパクのアミノ酸スコアは143になります(註1)。

以上です。専門的な内容ですが、こうしたこともあるのか・・と参考にして頂ければ幸いです。

註1)"Dietary protein quality evaluation in human nutrition." Report of an FAO Expert Consultation 2011. Food and Agriculture Organization of the United Nations, Rome, 2013.

註2)実際に2018年、2019年に発刊された複数の一般書でも古い計算方法の紹介がありました。それを機に「アミノ酸スコア」に関する記事を検索したところ、今回の記事を含め多くのサイトにおいて古い計算方法が紹介されていることがわかりました。たとえば味の素、グリコ、森永といった有名な食品会社のホームページでも古い計算方法が紹介されておりました(例:https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=6&category=muscle)。
古い計算方法を採ることで大きな損失があるとは言えませんが、できるだけ新しい、世界でも認められている情報が普及することを願っています。

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