1日18時間の絶食で寿命が延びる? 肥満や糖尿病に改善効果 米研究

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favicons?domain=www.cnn.co CNN 2021.04.19 UPDATE

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(CNN) 断続的な絶食の習慣を身に着ければ、血圧を下げて体重を減らし、寿命を延ばす効果が期待できるという調査結果が、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表された。肥満やがん、糖尿病、心疾患の予防や治療の手段として、医師が患者に絶食を勧める際の指針となりそうだ。・・

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今村文昭

ケンブリッジ大学医学部 MRC疫学ユニット

この記事は断続的な絶食に関する次の英語で記されたCNNの記事の邦訳になります。
https://edition.cnn.com/2019/12/25/health/intermittent-fasting-live-longer-wellness-trnd/index.html

もともとの記事はNew England Journal of Medicineという有名・有力な医学誌に掲載された内容に基づいて発表されました(註1・・最下部)。その原著論文を含め、いくつかの問題点を抱えているので、ここに数点のみ記したいと思います。

<><><><><>

① まず序文では次のように書かれています。

「断続的な絶食の習慣を身に着ければ、血圧を下げて体重を減らし、寿命を延ばす効果が期待できるという調査結果が・・略・・医師が患者に絶食を勧める際の指針となりそうだ。」

この文章、そして記事タイトルの「米研究」という表現は誤解を与えます。該当となる論文はある医学的な効果を調査・研究した報告ではなくて、「総説」といって調査結果を著者なりにまとめたものです。新たな知見を生んだのか、それまでの既存の知識を「著者が自身の見解でまとめた」のか大きく異なります。今回の場合は後者であり、残念ながら誤解や恣意性を伴っているものなので注意が必要です。

また「医師が絶食を勧める際の指針」というのは誤訳です。「医師が絶食を勧めるために必要な研究についてロードマップを示したもの」というのが論文、そしてCNNの原文の訳としては適当でしょう。現状で医師が勧めてもよいものなのか、勧めるまでに至っていないのか大きく異なるので記事中の訳は望ましくないですね。

② 1ページ目の最下部に次のように書かれています。

「今回の論文では、長寿で知られ、低カロリーかつ栄養豊富な食事で有名な沖縄にも言及。断続的な絶食が寿命を延ばし、肥満防止に役立っている可能性があると指摘した。」

この記載は5,60年前の沖縄県の食が”低カロリー”だったという観察に基づいています(註2)。確かに可能性として”低カロリー”の食生活が寿命を延ばしていることは論文でも記載されていますが、それが「断続的な絶食」とは一言も述べられていません。
食が細くとも、たとえば一日平均1500 kcal の食事を摂るとして
1.一日三食、定期的に食べる
2.朝と夜の一日二食にして、空腹の時間帯を作る
3.一週間のうち二日を750 kcal のみにし、五日を1800 kcalの摂取量にする

という3つの食生活は大分異なります。2と3とが「断続的な絶食」になるのですが、沖縄県の人たちに関する論文では区別されておりません。「断続的な絶食」について検討、論述したわけでもない論文を引用し、「断続的な絶食」の効果をうたうのはあまりに飛躍が過ぎます。

科学的にも「けっきょく、エネルギー摂取量(いわゆるカロリー)の問題では?」という単純な問いを分けて考えることができていない不十分な論考といえます。

③2ページ目には次のような記載があります。

「高齢者がカロリー制限のダイエットを行った結果、絶食しなかったグループに比べて言語記憶力が改善したという2009年の調査もある。」

この2009年の論文(註3)も上記②で記したように、絶食の時間を意図的に作ったのか、それともただエネルギー摂取量を低くしたもの(”カロリー制限”)なのか区別されていません。したがって、上述と同様、「けっきょく”カロリー”の問題ではないの?」という問いが残ります。

また平均のBody-masss index(BMI、体格の指数)は28 kg/m2という人たちが研究に参加したものです(註4)。つまり半分以上の人たちが太り気味(BMI>25 kg/m2)でした。断続的に絶食するか否か問わず、意識してエネルギー摂取量を減らせば、痩せられる人たちと言えるでしょう。

減量が認知機能の改善に寄与する可能性を示したのは価値がありますが、「断続的な絶食」に価値があったのか検討もされていません。

<><><><><>

以上、3つの点を述べました。総じてこの記事はあたかも「断続的な絶食」について研究・検討が成され、効果があるように記されていますが不適切といえます。

太っている人がエネルギー摂取量、単純に述べると【食べる量を減らすことに加えて】、絶食する時間を設けるか否かでより健康になれるかどうかは今のところ強いエビデンスはありません。少なくとも、「けっきょくは食べる量を減らせばよい」というアプローチと区別できていません。

記事にも問題があるのですが、もともとの論文の問題も大きいといえるでしょう。有名な医学誌だから、CNNだから、引用文献があるからといって同トピックの科学の質について誤解や過信が生まれないことを願っています。ほぼ同じ論点で個人的な記載も設けていますのでそちらもご覧ください(註5)。

註1.De Cabo et al., NEJM, 2019: https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMra1905136
註2.Willcox et al., Biogerontol, 2006: https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10522-006-9008-z
註3:Witte et al., PNAS, 2009: https://www.pnas.org/content/106/4/1255.long
註4:
170 cmの人で80 kg
160 cmの人で72 kg
150 cm の人で63 kg
註5:今村文昭(このHealth Nudge投稿の著者), Note https://note.com/nutrepi/n/n59cf14a3b4ff

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