奥原剛

大学病院医療情報ネットワーク研究センター　東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野　特任助教　MPH（公衆衛生専門職）

子供が保育園に入っているということは、子供の面倒を見てくれる身内が近くにいないということでしょう。その状況で「育児休業をとったから、保育園から退園させる」って、ちょっと酷ですよね。待機児童を減らしたいという焦りはあるのでしょうが。

ところで、保育園の入園は、フルタイムで働く母親は何点、パートタイムの母親は何点、持病のある母親は何点という具合に点数をつけて、点が高い家庭から優先的に入園できるしくみですね。

で、この点数の付け方が、持病のある母親には非常に酷なことをご存知でしょうか。自治体によって若干の違いはありますが、フルタイムで働く人が１０点だとすると、１カ月以上入院している人で１０点、常時寝たきりの人で９点、定期的な通院が必要な人で７点、みたいな配分です。

酷だと思いません？　常時寝たきりの母親よりも、フルタイムで働く母親が優先されるって……。待機児童が多くて、フルタイムで働く母親以外は保育園に入れられないという自治体もあります。持病のある母親はどうすればいいんでしょう？　寝たきりでも育児くらいできるとでも？　あるいは、持病のある女性は子供を産むなとでも？

この点数表（保育所入所基準指数表）がどういうプロセスでできたのか、ご存知の方がいらしたら教えてください。子育て経験者の意見が反映されるプロセスはあったのでしょうか？　産後の育児の大変さを知らない男達がつくったとしか、個人的には思えないのですが……。

ところで、日本の診療ガイドラインは、主に学会の関係者のみで作成されることが多いです。
その一方で、欧米では、診療ガイドラインの作成に患者や家族が参加して、意見を戦わせながら合意形成するプロセスが重視されつつあります。

当事者の意見を聞くって、大事ですよね。