「作り笑い」でも福が来た
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yomiDr(読売新聞) 2015.07.22 UPDATE
(2015年7月21日 yomiDr(読売新聞)より) 「笑う門には福来たる」といいます。 でも、「笑う」といっても、心から笑える場合もあれば、空気を読んで「作り笑い」することも多いですよね。 では、作り笑いをしても、福は来てくれるのでしょうか? 歴史をふりかえると、笑顔についてはじめて研究をおこなったのは、19世紀に神経学者として活躍した、ギューム・デュシーヌというフランス人です。 デュシーヌは研究の結果、同じ笑顔でも、自然な笑顔と作り笑いとに分けることができると主張しました。その違いは、目じりのシワなのだそうです。
前にも書かせていただきましたが、「作り笑いでも心身の健康によい」という研究がある一方で、「自分に無理させるのはよくない」という研究もあります。例えば、「自分をコントロールするためのエネルギーは有限で、自分をコントロールしすぎるとそのエネルギーが枯渇して、何のやる気も起きなくなってしまう」という「制御資源理論」など。
よく知られている制御資源の研究は、美味しそうな匂いを発しているクッキーを「食べてはいけない」と言われた被験者は、クッキーを「食べてもいい」と言われた被験者より、その後のテストの成績が悪かった、というもの。
クッキーを食べないのもセルフコントロールが必要。
テストの問題を解くのもセルフコントロールが必要。
クッキーで我慢のエネルギーを使ったので、テストでは我慢がきかずに、成績が悪くなったと考えられるわけです。
この結果、経験的に、腑に落ちません?
作り笑いがいいかどうかは、時と場合や、その時の体調や、自分の性格に合わせて考えればいいと思います。
ちなみに、「制御資源」(セルフコントロールのエネルギー)が減っていることを示すサインがあると言われています。感情の浮き沈みを過剰に感じてしまう、つまり、嬉しいときは感激し過ぎて、悲しいときは落ち込み過ぎる、そういう状態は、セルフコントロールのエネルギーが枯渇しかけているサインだそうです(これも経験的に納得しません?)。そんなときは誰とも会わず、もちろん作り笑いもせず、仕事もせず、家事もせず、セルフコントロールが必要なことをやめて、休む時間をつくりましょう。
以前の記事
『笑うと健康になるってホント?:おとなのカラダゼミナール』
『「自分は五月病かも」そう思ったときの3つのNG:もしかして五月病?と思ったら』
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佐々木 由樹
管理栄養士 健康運動指導士 MPH(公衆衛生学修士)
経験的に感じていたことを、こうやって理論で説明してもらうと、とっても納得します!
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Toshinari Watanabe
ぼーっとする、とか、
迷走、いや瞑想が良いんでしょうねー
これもマインドフルネスかな?
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