歯磨き粉に含まれる「フッ素」は歯に効果がない、癌や障害の原因になるは本当か?
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アイメディ 2016.07.05 UPDATE
「歯磨きのすすぎは1回が有効」という説が最近出回っていますが、本当なんでしょうか?試してみたという人に感想を聞きましたが、残留感や不快感があって、その後何回かすすぎをしたといいます。本当に虫歯予防効果があるのか、歯磨き粉そのものの安全性はどうか、気になるところです。
この記事、冒頭から、にせ情報をつかまされています・・・。フッ素は、花崗岩を通って湧き出た水に多く含まれるため、日本の水道水にもいくらか含まれています。アメリカで1930年代に井戸水の中のフッ素が「水1リットル中に1mg程度の濃度」の時に、むし歯が少ないことが明らかになり、フッ素の研究がスタートしました。この「水1リットル中に1mg程度の濃度」というのは、実は緑茶やビールに含まれるフッ素の量と同じくらいです。また、肉や魚や野菜や牛乳などの食品にもフッ素は少し含まれていて、私たちは日々摂取しています。1940年代からアメリカでは水道水中のフッ素の濃度を緑茶と同程度にするむし歯予防(フロリデーション)が開始されました。しかし、この施策に反対する人々が、人間ではありえない濃度のフッ素を動物に投与すしてガンを作るような実験の結果などを広めました。「アルミニウム工場の廃棄物であるフッ素をごまかすため。住民が従順になるため。」などもこうした人々が広めたデマです。「水や塩」といった私たちに欠かせないものでも、大量摂取で中毒や死亡がおこります。これはフッ素や、その他の様々なミネラル分でも同様です(アメリカやカナダなどでは、フッ素は微量栄養素として、食品のラベルに表示されています)。フッ素は、70年以上の検証を重ね、現在でも適切な利用であれば有効性と安全性が確認され、日本でも厚生労働省や学会が推奨しています。みなさんが飲む薬の中で、70年間も長期に渡り検証されている薬はどれだけあるでしょうか?歯みがきこのフッ素は、1日数回しか使わないため、アメリカの水道水よりも濃度は濃いですが、その分、歯に作用してむし歯予防効果を発揮します。そして、歯みがきこを通常利用して口の中に残るフッ素の量は微量です。緑茶や紅茶をいくらか飲んで摂取する量と変わりありません。もし常識的な量の緑茶の摂取で、フッ素が摂取されるために脳機能障害やがんが発生するのなら、日本人の長寿はありえないですよね!?インターネットはさまざまな情報が「客観性をよそおった両論併記」で書かれますが、まったくのウソと長年科学的に検証され続けたことが両論併記になるのは、やめてほしいなあと思います。
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近藤尚己
東京大学 大学院医学系研究科 健康教育・社会学分野 保健社会行動学分野 准教授 医師 社会疫学者
水道水へのフッ素添加、実現して欲しいですね。
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