間違いだらけ!インフルの正しい「怖がり方」 | 病院に行かないという「選択肢」
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東洋経済オンライン 2016.12.09 UPDATE
インフルエンザのシーズンになってきました。2009年にインフルエンザパンデミックが起こった影響もあり、より注目される感染症になりました。
これを書かれたのは、私の札幌時代の師匠の一人のDr.岸田@感染症専門医です。
すばらしい内容だと思います。
メディアでは「すぐに病院へ!」というメッセージはしばしば耳にしますが、個人的には賛成できないことも多いです。
インフルエンザ、胃腸炎、が典型例です。
そもそも行ってもやること無い、というのも良くある話です。
加えて、軽症で受診すると「せかっく来たんだから検査くらいはしたい、クスリくらいはもらって帰りたい」というよく分からない医療を誘発してしまいます。
時間もお金も無駄です。そのお金はおいしいものを食べたり旅行に行くのに使いませんか?
特に管理職の方にここらへんご理解いただきたいですが、体調悪いときは、仕事や学校は休みましょう。
インフルエンザであれ、そうじゃないとしても、ノロであれ、そうでないとしても、関係ないと思います。休みましょう。
”インフルエンザ診療をやりすぎている
病院に行き過ぎていませんか?行くべきかどうか自分で判断する方法などについて、この連載では取り上げていきます。
筆者は、日本は「過度なインフルエンザ診療」の状況にあると思っています。実際、秋冬は救急外来・小児科外来などは風邪症状の患者さんでごった返しています。
するとどうなるか。対処すべき救急患者さんの診療が遅れることにつながったり、十分な診療ができない、といった状況も多々生まれているのです。それに、もどかしさを感じている医師は少なからずいます。
このあふれかえる患者に対応するために、大して診察もできぬままに「まずは検査をして、(+)なら抗インフルエンザ薬を処方。(-)だったら抗菌薬……」と自動販売機でもできるような診療となっています。
インフルエンザの診断が”絶対視”されているのか、近年、検査で(+)が出るまで毎日でも病院に通う人が非常にたくさんいます。しかし、インフルエンザもそうですが、ウイルス感染症でウイルス量が多いのは発症して高熱が出ている最初の期間です。その時期にせっせと病院通いすると、伝搬してしまうリスクがあります。
しかし、「インフルエンザも自宅療養が可能」と認識してくれる方が増えれば、過度な外来受診による感染を防ぐことができます。インフルエンザ流行のピークの波の高さをワンランク下げることだって、十分可能と思います。”
”しかも、意外と知られていないのですが、実は自然によくなる人がほとんどなのです。”
”皆さんや家族の方(特にお子さん)はどうでしょうか?ここに当てはまらなければ、「抗インフルエンザ薬を飲まない」というのもひとつの選択肢と考えてもいいかと思います。”
”実は、これもあまり知られていないと思うのですが、インフルエンザはその検査精度も十分ではないのです。医療の限界があるのです。
具体的には、(+)という結果ならインフルエンザとほぼ考えてよいのですが、3~4人に1人くらいの頻度でインフルエンザにもかかわらず、(ー)という結果になる検査なのです。つまり、「(-)なのでインフルエンザではないですね」とは本当は言ってはいけない検査なのです。
そうなると、本当はインフルエンザにもかかわらず、陰性だから違うと言われたとして登校・出勤してきている人は、現時点でもそれなりの数で存在してしまっているということになります。
「検査が(-)だから大丈夫」という言い方が信用できないことがよくわかっていただけたと思います。
今、インフルエンザの検査をして(+)反応が出るまで、毎日受診する患者さんが後を絶たないという状況です。しかし、ここまでご説明したように、検査が絶対でない以上、せっせと検査して、インフルエンザで陽性が出た人だけ隔離するという今のやり方がいいとは到底思えません。”
”そもそも、インフルエンザだけ取り除けばいい、とそこだけに注目しているのもおかしくはないでしょうか?ほかの感染力の強い風邪だってたくさんあるわけです。
こういうと、「現実問題、熱があるくらいで、仕事を休めるはずがない」という声もたくさん聞こえてきそうです。しかし、そこまでして職場に出て、病気を蔓延させれば、組織全体の仕事に支障をきたします。
高熱があって感染性の高い病気かもしれないのに、仕事に出てこなくてはいけない会社のリスク管理は一体どうなのか?一度、管理職の方などには真剣に考えてみてほしいのです。
高熱がある場合や風邪症状があり体調がすぐれない場合は飲み会への参加も厳禁です。閉鎖空間で長時間ワイワイつばを飛ばしながら話し、みんなで同じお皿にはしを入れて食べると、感染しやすくなります。感染症コンサルタントとしてかかわっていると、飲み会をきっかけに感染拡大となっている事例に多々出合います。”
”もし病院に行ったけども、「ハイリスク患者でなければ検査もしないし薬も出さない」と言われたとしても驚かないでください。そのような先生は何もしてくれないひどい先生ではなく、“医者もどき(physicianoid)”でもありません。インフルエンザについて真摯にとらえ、むしろ丁寧に診察し、検査・治療のメリット・デメリットをあなたのためにだれよりも考えて説明してくれている先生かもしれないのですから。”
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