軽度要介護3割増加、交流減少など影響か…被災地3県沿岸部
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yomiDr(読売新聞) 2015.07.07 UPDATE
(yomiDr(読売新聞)より) 東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島県の沿岸部で、要介護1以下の軽度な要介護認定が3年間で約3割増加したことが、東北大などの研究チームによる調査でわかった。避難生活が長引き、近隣との交流が少なくなり活動の機会が減っていることが背景にあるとみられる。
軽度要介護認定率の増減の解釈については,注意が必要です。
要介護認定には要支援1・2,要介護1-5と7段階あります。軽度要介護認定といった場合,要介護2までのことを指します。認定は各市町村で行われ,調査員や医師の医見書,介護認定審査会での確認など,何段階かの作業を経て認定されるか否かが決まります。その中には,ある種,「真の要介護認定」と言えるものと,「その他の理由での要介護認定」と言えるものがあります。
特に,要介護認定を割合や率で見るときには,分母と分子の両方を考える必要があります。軽度の要介護認定は,その地域に病院があるかどうか,地域のケアマネさんの力量などに関連するとも言われています。
つまり,「真の要介護認定率増加」は,実際にその地域の高齢者の方たちの中で認知機能や運動機能が低下する人が増え,認定率が増えたものと言えます。
「その他の要介護認定」は,被災地の状況で考えると,分母では歩ける人や機能が保たれている人ほどその土地を出てしまったので,認定を受けた人の率が上がったのかもしれません。また,被災地だからこそ,様々な支援が入り,要介護認定という制度につなげる人たち(医療者やケアマネさんなど)が多く入ったため,要介護認定率が上がったという可能性もあります。
どちらにせよ,被災後,押しなべて被災地域で要介護認定率が上がっているという事実に変わりはなく,被災地が高齢者の方たちの運動機能や認知機能を低下させる要因を多く有していることに変わりはないため,今回の結果をもとにその理由を探り,効果的な対策につながることを祈念しております。
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